mamagirl公式ママ投稿アプリ「KiraraPost」より●恋するウェディングフォト@Mizuhoさん

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【僕が妻に恋する瞬間】#3「覚悟」

 

カレンダーをみると、もう木曜日だった。


仕事が忙しくなると、あっと言う間に週末を向かえてしまう。

今週作る予定だった資料を来週に持ち越し、メールの返信を済ませると次の会議の準備をする。飲み会の誘いもあったが、そんな余裕はなかった。



帰りが遅くなり、家族との時間が取れないと「この仕事を投げ出して、早く帰りたい」と思ってしまう。結局、真面目に働かないことにはいまの生活もできず、なんだかんだで週末になるのだ。



夕方、打合せの移動中にスマートフォンを取り出し、妻にLINEをする。

適当なスタンプを送ったのにすぐ「既読」の2文字が表示され、僕は電話をかけた。


「いま大丈夫?もう夜ごはん食べたかな?」


「うん!ごはん食べて順番にお風呂入ってるよ」


「そっか。今日はもう少し遅くなるかな」


「わかった。眠そうだけど大丈夫?」


「うん。ちゃんと仕事の合間に休んでるよ」


「本当?いまはお仕事に集中してね」


「はーい」


電話の向こう側から息子が「バスタオルがないよー」と叫ぶ声が聞こえた。


今週は天気がころころ変わって、晴れの日が少なかったから洗濯物が追いついていない。

きっといまごろ、乾燥機の中からふかふかの温かいバスタオルを取り出して、頭から拭いてあげているころだろう。


こどもたちの無邪気な笑い声と、妻の笑顔が目に浮かぶ。


「よし。さっさと終わらせて帰ろう」


声に出してそう言うと、パジャマ姿のこどもたちの写真が画面に表示されて、赤らんだ頬と眠そうな笑顔に胸が温かくなった。





妻と結婚する前。僕がシステムエンジニアをしていたころ。


大きなプロジェクトで他のチームの進捗が悪く、仕事で帰れない日が続いたことがあった。


彼女と子どもと3人で同棲を始めてからは、「仕事がどんなに遅くなっても終電には帰る」と約束して言っていたものの、2日間帰れない日が続くと2人の関係も悪くなっていく。



「今日も定時で帰れない?」


「今日も家に帰ってこれないの?」


「連絡がこないと困るんだけど」


まだLINEもなかったときだ。

読んだメッセージに「既読」はつかない。


どんなに忙しくても、携帯電話のEメールを使ってメッセージを送りあい、ときどき短い電話をして仕事に戻る。そのくらいの余裕があったにも関わらず、彼女からメールが届くたびに「いまはそれどころじゃないんだ!」と心の中で文句を言って返信しなかった。



きっと彼女は応援してくれるはずだ。

結婚式を挙げるために、どんな残業をしてでも稼がなくっちゃいけないと、家族のために仕事をしている自分が誰よりもカッコいいとすら思っていた。



仕事が落ち着き、交代で休暇をとることが決まった木曜日の午後に


「今日は定時に帰れそう。明日は久しぶりの休みだよ」


と彼女にメールを送る。


きっと喜んでくれると思っていたが、その後オフィスに戻ってもメールの返信はなく、社内チャットを送っても開封された通知も戻ってこなかった。


もしかしたら、全然連絡を返せなかった僕に怒っているのかもしれない。

もしくは体調を崩しているかもしれないと心配になって、彼女のいるフロアーに足を運ぶといつも通り机に向かって仕事をしていた。



「あっ、お疲れ様です」

「お疲れ様です」

「連絡できなくてすみません」

「いえ、別に。大丈夫です」


なんとなく声をかけたが、怒っているのか目も合わせてくれなかった。

その後、夕方過ぎまで残作業があり結局3日間ぶりに帰宅したのは21時を回っていた。



家につくと、リビングからいい匂いがする。

一人分の温かい夕食が並べられたテーブルを横目に、キッチンから彼女が出てきた。


「ずっと忙しくてごめんね」


そう言って、椅子をひいて腰を下ろすとキッチンから彼女が出てきた。


「謝るところはそこじゃない」


「えっ。じゃあ、帰れなくてごめん」


「忙しいことに怒ってるんじゃなくて、連絡しなかったことに怒ってるの。」


そういうと、彼女は次々に話をした。僕が連絡を返さなかった日、終電でも帰ってくるかもしれないと起きて待っていたこと。夕食を一人分用意して、いつでも温められるようにしていたこと。今日も「定時に帰れる」と聞いて、息子に「久しぶりに一緒にお風呂に入れるかもしれないね」と話をしていたこと。全て、僕が送ったり送らなかったりしたメッセージを期待して振り回されていたと話した。

僕は彼女の言葉を受け止めて、ただ謝るしかなかった。


「あなたは一人じゃないんだから。連絡はして欲しい」


「連絡がなくても期待もするし、心配もするし、不安になる」


「仕事なら応援するから。帰ってくるの待ってるから」



今でも泣き出しそうな声で話をする姿をみて、心の底から詫びた。


彼女は何度も「連絡しないことを当たり前にしないで欲しい」と言い、その度に悲しそうな顔をする姿を見て、過去に別れた原因は日々のすれ違いが重なったものだと感じた。



僕たちはもうすぐ結婚する。

彼女は2回目の結婚に、不安を感じていたに違いない。

その不安を安心に変えてあげられるのは、僕しかいない。



夫婦になる、家族になるということには、相当の覚悟がいる。

いまでも忙しくなると当時のことを思い出しては「そろそろ帰るね」と連絡をする。

表参道のゆるやかな下り坂を、小走りして駅まで向かった。




ママ投稿より●今週の恋するウェディングフォト

mamagirl公式ママ投稿アプリ「KiraraPost」(https://kirarapost.jp/)に寄せられた投稿から、連載のメイン画像をピックアップ!

今週の恋するベストフォトは「KiraraPost」ユーザー@Mizuhoさん(https://kirarapost.jp/user/Mizu_rui)をご紹介します。

Mizuhoさんから旦那さんに宛てたメッセージです。

「結婚して4年目、山あり谷あり乗り越えて、もう長いこと夫婦をしている感覚です。
何があっても遺伝子レベルで愛してる♡」



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Shin5

都内で会社勤めをしながら、なにげなく始めたTwitter が話題となり書籍化。
妻と4人の子どもとの日常を綴ったつぶやきが人気を集め、SNSのフォロワーは計30万人を超える。

漫画「結婚しても恋してる」 (ジーンピクシブシリーズ)、は2016年 次にくるマンガ大賞にランクインし、累計20万部を突破。
書籍は中国・韓国で翻訳版が発売されてアジア圏で注目されている。

結婚後も妻への恋心と子ども達への愛情いっぱい生活を言葉で切り取り発信している。

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