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不倫女「別れてください」静かなるガチバトル勃発…意外な結末に!

Illustration by 藤峰やまと

Entertainment

不倫女「別れてください」静かなるガチバトル勃発…意外な結末に!

mamagirlWEBだけで読める小説「シンデレラmamaガール」mamagirlWEBだけで読める小説「シンデレラmamaガール」。ついに最終回。 夜に自宅を訪ねてきた夫・宗太の浮気相手、沙彩。 慌てふためく宗太に、さらさは家に上がるように伝えるーー。 浮気相手と、妻がついに対峙!

10話:自分でつかんだ幸せ…まさにシンデレラmamaガール

リビングにあるインターフォンのモニターに映る沙彩の姿。

さらさ「入れて」

さらさの気丈な言葉だけが、部屋に響いた。

宗太がインターフォンの解錠ボタンに指をとんとしながら黙り込む。

そして…

宗太「わかった」

マンションのロックを開けて、すぐに沙彩はやってきた。

慣れたように、ダイニングテーブルに座る。

(この様子じゃ、きっとうちにも来てたんだろうな)

悲しい感情と怒りとが入り混じる。


言いたいことはたくさんあるはずなのに、沙彩を目の前にすると、心臓がバクバクしてそれどころじゃなかった。

沙彩は恋人のように宗太に目配せをすると、落ち着いた口調で話し始める。


沙彩「この状況で、よく帰ってこれましたね」

トゲのある言葉にさらさのイライラが増す。

さらさ「は?」

怒りをにじませるさらさを見て、沙彩はほくそ笑んだ。

その姿に、ぐっと言葉をこらえる。

(ここで感情に任せて怒ったら、沙彩に何も伝わらない気がする)


子どもがいる家庭を壊しても、何も思わない相手に正論もなにも通じるはずがないと感じた。


沙彩「今日は、帰ってきた先輩に言いたくて。宗太先輩と別れてください。宗太先輩は……」


ベラベラと一方的に話す沙彩のことばを聞きながら、言いたいことをまとめるように、さらさは今までのことを思い出していた。


沙彩と鉢合わせした電車、沙彩と宗太のline。

怒りもあったし、同時に悲しみもあった。でも、それがなかったらネットショップのことを考えることもなかった。


沙彩がベラベラと私への不満をしゃべりつづける。

さらさはぐっと言葉を飲み込むと、余裕のあるようにっこりとほほ笑んだ。


さらさ「会話の途中で悪いんだけど」

にっこりとするさらさに、沙彩が気持ち悪いといった表情を浮かべる。

沙彩「…なんですか」

さらさが、沙彩の目をまっすぐに見つめる。


そして……


さらさ「ありがとう。私も宗太もお世話になりました」

沙彩「え?」

予想外の言葉だったのか、沙彩の顔がわずかにゆがむ。

さらさ「私も育児でいっぱいいっぱいで…沙彩に電車のホームであった時、身なりがボロボロな自分が恥ずかしかった」

さらさ「それに金銭的にも精神的にも宗太から自立できていなくて、辛いことがあっても何もできない自分が情けなかったし、沙彩に勝てないって思った」

さらさ「それを気づかせてくれて、感謝してる」


沙彩「え、褒めるとか、、なんなんですか、急に」

さらさは、首を横に振る。

さらさ「浮気した宗太のことも許せない。今も許せてはない。ただ、もう私は宗太がいてもいなくてもどっちでもいい」

沙彩「え?」

さらさ「お金もメドが付いたし、あなたたちのことはもうどうでもいい」

沙彩が目をパチパチさせる。


さらさ「どうしたいか宗太に聞いたの。ここにいたいのか、沙彩のところへ行くのか」

沙彩がすぐに宗太のほうを見る。

宗太は視線をそらそうとしたものの、重い口を開いた。

宗太「…ごめん。俺は家族といたい」

沙彩「先輩…?」

宗太「気の迷いだった」

沙彩が目を見開く。


さらさ「だからもう、あなたの居場所は、ここにはない。私たちのいざこざに巻き込んでしまってごめんね」

沙彩「ちょっと待ってください、これじゃあまるで私が被害者のような…」

さらさ「そうだよ。沙彩が一番かわいそう。」

さらさ「ほんとうに、ごめんね」

沙彩がぽつんと取り残されたような空気が漂う。


感じ取ったのか沙彩は目に涙をためながら、嫉妬や怒りに満ちた目を向けてきた。


さらさ「先輩として助言するけど…沙彩も子どもを産んだらきっとわかると思う」

さらさ「浮気されるって最悪だよ。相手が不幸になることはしないほうがいい」

沙彩「それはっ…」

さらさ「まあ今に始まったことじゃないけど。大学時代から有名だったよ。沙彩の評判」

沙彩は自分の評判がいちばん堪えたのか、黙りこむ。

さらさ「わかったら、二度と私たちの前で現れないで」

沙彩「宗太せん…」

宗太「悪いけど、帰ってくれ」
沙彩は唇をかみしめると、何か暴言を吐いたあと出て行った。



さらさ「はーーー」

さらさは伸びをすると、熱いお茶が飲みたくなりキッチンへ向かう。


宗太がぼそっと呟いた。

宗太「…お前、変わったな」

ケトルのスイッチを押しながら、さらさも呟いた。


さらさ「宗太も変わってよね。これからは、もう二度めはないから」


宗太は大きくうなずくと…

宗太「ほんとうにごめん」

さらさを目の前で、改めて頭を下げた。



それからと、いうもの……。

育児、家事、仕事……めまぐるしく過ぎていく平日。
気が付けば今日は土曜日になっていた。

朝少し早い、表参道の路地裏。
さらさは、メイクさんに髪を直してもらいながらカメラ前に立っていた。

カメラマン「OK!では、次は集合のイメージカット撮りますんで」

さらさ「はい!」

さらさは水着のネットショップオーナーとして人気を博し、mamagirlのカリスマ読者ママモデルとして連載をもっていた。


(今日の撮影は特別なんだ)


髪型は切りっぱなしショートボブに、耳元にはおおぶりのイヤリング。
えり抜きニットのセットアップにショートブーツを合わせている。


パンチのあるデザインのブランドバッグは、ネットショップ成功のごほうびに自分で買ったものだ。


背筋を伸ばしたところへ、ママ友である、ニイナ、美咲、そして親友の沙織がくる。


ニイナ「ひゃー!撮影なんて初めてだから昨日エステ行っちゃった」

美咲「私は緊張」

沙織「大丈夫ですよ、みんなかわいい!」


待ち時間にすっかり沙織も溶け込んだのか、3人が和気あいあいと近づいてくる。

さらさ「みんな、今日はありがとう」
集まってきたみんなが笑う。

ニイナ「さらさの連載で友達紹介してくれるなんて光栄!」

美咲「私も早速親に自慢しちゃった」


来月号のmamagirl連載では、ネットショップ立ち上げに至るまでのさらさ自身のこれまでの軌跡を特集する予定で、さらさにとっても特別な撮影だった。


沙織がさらさを急に抱きしめる。

さらさ「ちょ、え…!」

沙織「ほんとにおめでとう、さらさ。よく頑張ったね」

続いて、ニイナ、美咲も抱きしめる。

さらさ「みんな……」


さらさも抱きしめ返す。その視線の先では、ひなたを抱いてる母、一緒についてきてくれた宗太の姿もあった。

(どうしよう…私、今すっごく幸せ)

カメラマン「さ、みなさん!今の感じも素敵だけど、カメラに向かって笑って」

一同「はーい」

カメラに向かって、大切な友人、家族に囲まれて笑顔を見せる。


(子どもを産んで、慣れない環境に戸惑ってばかりだったけれど)

(子どもを産んだことで見える、新しい世界もある)


カメラマン「いいね、いいね!もっと笑顔でー!」


さらさは、3人をぎゅっと自分のほうへ引き寄せる。

さらさ「幸せーー!」

(育児もファッションも、私らしく前向きに楽しもう)


カメラに向かうさらさの姿は、人生の中で一番輝いていた。


終わり

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Ayaka

ライター
ライター。ファッション雑誌、作詞提供、携帯ゲーム脚本など書くことを仕事にしています。現在、おてんば娘に振り回され中。
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