撮影/mamagirl編集部
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「おしゃれと子育てをどう楽しむ?」パリで学んだ自分スタイルの見つけ方【スタイリスト福田麻琴さんインタビュー】
女性ファッション誌を中心に活躍するスタイリストの福田麻琴さんがmamagirlに登場! プライベートでは11歳の男の子のママでもあります。
30歳での留学をきっかけにパリの虜になったという福田さん。福田さんと同じくパリを愛する21人に取材をした『PARIS MANIAQUE 寝ても覚めてもパリが好き』(イースト・プレス)が好評発売中です。パリジェンヌに学ぶ、ファッションの極意とは?ママたちがオシャレをもっと楽しむためのヒントを伺います。
パリジェンヌママは「子どもは子ども、自分は自分」スタイル
―産後、自分がこれまで着ていた服とはテイストが変わってしまうママも多いですが、パリジェンヌは子育てとおしゃれをどのように両立していると感じますか?
福田:パリジェンヌを見ていると、そもそも子育てとオシャレを両立をしようなんて考えてないなって感じます。根本のマインドが日本人とは違っていて「なんで子どもに私のファッションを寄せるの?」というオーラがあるんです。
例えば、公園で子どもを遊ばせる時に、パリにはジャケットを着てヒールを履いているママが普通にいるんですよ! 日本だと、公園のママファッションって、みんな似てきますよね? 汚れてもいい服で、動きやすいパンツを履いて、スニーカーにキャップ…というように。逆にそうじゃないとちょっと浮いて見えるし、なんとなく周りのママさんに合わせておこうという考えもあるかと思います。
もちろん、一緒であろうとすることが悪い文化だとも思わないし、子どもと過ごすことを考えると、絶対に日本のママファッションの方が動きやすいはず。ただ、パリジェンヌはそうじゃない(笑)。
私も実際、パリのカフェのテラス席で、ベビーカーを横に置いてワインを飲んでいるパリジェンヌママを見ました。え! 子どもが寝ている横でワイン!? と衝撃的でしたが、「私の時間を楽しんでるのよ」という雰囲気が感じられて妙に納得してしまって。彼女たちは、自分のストレス解消も大事にしているんですよね。
ー日本の育児とは全然違いますよね。
福田:親子の関係性が、「ママと赤ちゃん」というセットではなく、「個人」と「個人」なんですよね。すごく気楽だなと思います。私たちが日本のママ社会でちょっとモヤッとしてきた要素が全くないんです。「みんなと同じじゃないと!」という圧力もなくて。私もフランスで子育てしてみたかったなと思うくらい。
ー日本で子育てしていると「みんなと同じママにならなきゃ」という思いが強くなって、自分自身を後回しにしてしまう感覚はたしかにあります。
福田:私はそんな時にこそパリに行って、自分を取り戻してきます。パリで自分は自分であることを実感して、帰国したらママや妻である自分も楽しむ。どっちが良いということではなく、本来、どちらも幸せなんじゃないかな。
産後のファッションの変化は、新しい自分の発見!
―ファッション面でも、ママになると大きく変化すると感じます。
福田:そうですよね。でも、私の場合、ママになったからこそファッションの幅が広がったかも。20代の頃はヒールを履いて、アンサンブルニットにふんわりスカートを履くフェミニンなスタイルが多かったんです。その後、30歳でのパリ留学でシンプルなファッションに出会い、帰国後に出産。子育て中はTシャツ、デニム、スニーカー、キャップというスタイルにならざるを得なかったけど、それはそれで新しいスタイルとの出会いで。子育てファッションを通らなければ、今こんなにスニーカーやデニムを楽しめていないと思います。
―ママの定番、カジュアルファッションをワンランク上げるコツを教えてください!
福田: ジュエリーや時計、スカーフなどの小物を足すことで、遊びや変化をつけられると良いのかな。あとは、髪型やメイク。息子が小さいうちは髪を乾かす時間を節約したくて短くしていたけど、逆にショートカットを楽しんでいました!
ママファッションも、「我慢」と捉えるか「新しい自分を発見した」と捉えるかで、楽しさが全然変わるんです!
―福田さんの息子くんは11歳ですが、子育てが少し落ち着いたことで、ファッションに変化はありましたか?
福田:新米ママの時に着ていた服は今でも愛用しています。子育てファッションに自分の好きなものをプラスしている感覚です。デニムやスニーカーは以前から好きでしたが、子育てをしてから定番になったかな。
今でもカジュアルを楽しみたい気分なんですよね。クリーニングに出すような服は着ないし、ヒールも履かない。子育てのために我慢していたと思っていた服、バッグ、靴も、今の自分には必要ないなと感じています。
「みんなと一緒」から外れた先に、自分のスタイルが見つかるかも
―書籍の中で、パリの人は自分のスタイルを持っていることが紹介されていました。自分のスタイルは、どうしたら見つけられるのでしょうか?
福田:パリの人たちは、子どもの頃から自分の意思で物事を選択するように訓練されているのではないかと感じます。自分の好きなモノ、嫌いなモノをよく考えていて、何を決めるのにも親が誘導するのではなくて、ちゃんと自分で選ばせる。子どもであっても、きちんと自分の意見を持っていて主張するんですよね。
だから自分に似合う赤リップや、自然体に見える髪型をよく知っているんですよ。それに、心も体も自分で自分をケアする方法を知っている。ママになってもそういった時間は大切にしている印象があります。
―私自身、自分自身の好き嫌いにもうちょっと正直に生きた方が良いのかなとも感じています。
福田:そうなんですよ! 日本の女性は、もっとワガママになっても良いんだよ! ということを、この本で紹介したパリジェンヌのライフスタイルから感じ取ってくれたらうれしいです。
日本社会で暮らしていると、みんなと同じでいることが当たり前のことですよね。でも、みんなの基準から一歩外れた先に自分のスタイルが見つかるのかもしれない。
一歩外れるというのは、好きな服を着ることなのかもしれないし、レイトショーやお芝居を観に行く事なのかもしれないし、美味しいものを食べたり、気持ちのいい日に散歩に出かけたりすることなのかもしれない。誰かの目を気にせずに自分のために服を着て、自分のために使える時間を作れるといいのかなって。子育て中はなかなか難しいのですが、私は常に企んでいますよ(笑)
大人になったら、知性をアクセサリーに
―自分らしいスタイルと、トレンドとのバランスの取り方も難しいなと感じます。
福田:たしかに。トレンドは追っていきたいけど、自分らしさも忘れたくないですから。
例えば、パリジェンヌではありませんが、アメリカの映画監督のソフィア・コッポラはとても素敵な人ですよね? 私たち世代は誰もが憧れる存在。でも彼女って、派手な服を着ているわけではありません。黒のセンタープレスのパンツに無地のシャツをあわせていることも。でも「彼女らしさ」がにじみ出ている。そういった自分らしさに、ひとさじの流行やその時の気分を取り入れられたら素敵だなと思います。
ーソフィア・コッポラのように派手なモノを着たり持ったりしていなくても、目を惹くファッション。その秘訣はなんなんでしょうか?
福田:内面から知性がにじみ出ていて、それがアクセサリー代わりになっている気がします。だから私たちも、内面を磨いてファッションに知性をにじみ出していくしかないのかなって(笑)。
自分のファッションスタイルに迷ったら、買い物に行くのではなくて、本を読んだり、美術館巡りをしたり、家でNetflix鑑賞でもいいから新しい感性をインプットする。そうやって自分の内面をアップデートさせれば、素敵な大人に近付ける気がします!
TPOさえ押さえれば、子どもが着たい服を尊重
―子ども服選びにはどんなこだわりがありますか?
福田:息子が幼い頃は、パリのスーパー、MONOPRIX(モノプリ)で買うこともありました。パリの子ども服って、色味や素材が大人と同じで、私も着たい! と思えるものばかりなんです。日本でもフランス発の子ども服、プチバトーはよく買っていました。あとはユニクロや韓国通販なども活用していましたね。
今思い出しても、小さい頃は楽しかったな~と、しみじみしてしまいます。今はさり気ないリンクコーデを提案しても「ママこだわりすぎ…」とか言われちゃう(笑)。
ー子どもが着たい服と、ママが着せたい服とのギャップ問題はあるあるですよね(笑)。
福田:でも、「これが着たい」を尊重させてあげることも、子どもの意思を育てるきっかけになるのかもしれないですよね。
服って楽しむモノだから、子どもの「着たい服を着られた」という欲求を満たしてあげたいとは思うんです。
その上で、TPOだけは教えてあげたいかな。例えば、冠婚葬祭でその派手なTシャツは着られないんだよとかね。そこさえ教えてあげれば、あとは好きに選ばせてあげる。ついつい口を挟みたくなるけど、「どっちが素敵かな」と相談された時に「ママの好みはこうだよ」と伝えるくらいがちょうどいい。パリの人たちのように、自分で物事を選択する経験は毎日の服選びからでもできますよね。
息子とは「お互いに良い影響を与え合う関係」
ー大きくなった息子くんとの親子関係はどんな感じですか?
福田:週末は一緒に行動することが多いかな。“自分時間”として大切にしている映画や美術展に一緒に行くこともあります。
映画だったら私と息子の希望の作品を交互に観るし、例えばジュエリーの美術展だったら、「これって鉱物なんだよ」と、息子が興味を持ちそうな言葉で誘導しています。あまりに興味がなさそうな時は「帰りにゲーセン寄ろうよ!」と誘い出すことも(笑)。
お互いの好きな場所に一緒に行くことで、良い影響を与え合う関係性になれているのかな、と感じます。私も、息子のおかげでゲームセンターのコインゲームの面白さを知りました(笑)。いつかパリにも二人旅をしたいです♪
ー書籍内で紹介されていたアニエスベーのデザイナー(アニエス・トゥルブレ)の言葉、「いちばん大切にしているものは女友達」というのが印象的でした。福田さんは今、女友達とどのように付き合っていますか?
福田:子育て中になかなかとれなかった女友達との時間を、やっと今取り戻しています。1〜2週間に1回くらい、女友達との夜の食事を楽しんでいるかな。たまには母としてではない自分で、普段は話さないトークをするのもすごく大切な時間です。
★編集後記★
ママだから…と悲観的になるのではなく、その時のファッションやライフスタイルにパリジェンヌのような自分らしさを加える。そうすれば毎日がもっと楽しくなり、結果的にママも子もハッピーになれるのかも。福田さんと息子くんの「良い影響を与え合う親子関係」も、まさにパリジェンヌ的ですよね。
そんな福田麻琴さんのライフスタイルはInstagramでチェック♪
■書籍情報
『PARIS MANIAQUE 寝ても覚めてもパリが好き』(イースト・プレス)
編集・著作 Huîtres(福田麻琴&幸山梨奈)
【mamagirl公式X(旧Twitter)でプレゼントキャンペーン実施中!】
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1991年生まれのライター・コラムニスト。エンタメからビジネスまで、執筆ジャンルは多岐に渡る。恋愛漫画の原作も手掛ける。2016年に出産、男女の双子を育てる母。男性アイドルウォッチャー。Twitter:@kaerita_i
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