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Illustration by 藤峰やまと

Comic

【シンデレラmamaガール】#3 男の弱さと女の勘

mamagirlWEBだけで読める小説「シンデレラmamaガール」。
第一子を出産して4カ月の新米ママ・木部さらさ。

ママ友たちとの楽しいひと時。しかし赤裸々なトークに、さらさはある不安を抱いてしまう……。

第三話:男の弱さと女の勘

(…いや、やっぱだめだ)

携帯をポケットにしまうものの、宗太の顔がゆがんだ。
子どもはかわいいけれど、想像以上に大変な生活、すれ違う夫婦生活。

それから解放されるような、何かそんな時間が欲しかった。

ゲームをしているときは忘れられていたものの、それすらもさらさの顔色を伺いながらしなくてはいけない状況。
どこかやましい気持ちを心の奥にしまい、気晴らしするだけだ、と思うと罪悪感がなくなる。

宗太は携帯を取り出すと……

(…ごはんを食べるだけならいいか)

沙彩のlineを開いた。


宗太「返事遅れてごめん。了解」
後ろめたさを振り切るように、コンビニへと足を進めた。



……

月日は流れ…-。


(うわー!なんだか感慨深い…)

いつもお世話になっている商業施設の子ども広場で、ハーフバースデー撮影会が開かれていた。
ひなたも今日で生後6カ月。

インスタで有名なバースデーフォトデコレーションのママが大きなケーキをモチーフに作った背景に子どもを寝かせ、自由に携帯で撮影できるというものだった。

インスタで見つけたハーフバースデー用の衣装にリボンのヘアバンドを付けたひなたが、さらさのカメラに向かって笑う。

ニイナ「ひなちゃんかわいい~!もうさ、あっという間にハーフバースデーだったね」

ニイナが金髪のロングヘアを揺らしながら、さらさの耳元でにっこり微笑む。

さらさ「うん!げんこつやまのたぬきさんの歌詞状態が毎日6カ月…よく頑張ったよ、私たち」

その時、ふとさらさの頭に、宗太の顔がふっと浮かぶ。

(がんばったといえば…宗太もか)

大げんかをした日から、宗太は見違えるように育児を手伝ってくれるようになっていた。
夜遅くて帰れない日も、翌朝のゴミ捨てや小さなことを手伝ってくれる。

(いつも優しくできないけど、宗太もがんばってるんだよね)

(今日は優しくしよう)


心がふっと軽くなったとき、美咲がさらさの肩をちょんちょんと叩く。

美咲「次の人、すごいこっち見てる(笑)」

さらさ「あ!すみません…」

気が付くと、後ろに行列ができていた。
さらさとニイナと美咲は写真を撮り終えると、いつものカフェへと向かった。


子どもにご飯を食べさせ終えると、3人一斉に抱っこして寝かしつけをする。
少しぐずり気味の息子に、美咲がボソっとつぶやいた。

美咲「こんなに大変なのに…男の人って意外と子どもが騒いでも寝れるよね」

ニイナ・さらさ「わかる!」

声が揃い、思わず3人で笑ってしまう。

ニイナ「子どもを産んで6カ月。まだ消えぬパパへの不満」

さらさ「ほんとだよね(笑)あーもう、今日こそは優しくできそうと思ったのに!この会話でまた不満が出てきちゃう」

美咲「ごめん、ごめん。でもいつまでも男の人って独身気分よね」

ニイナ「ねー、夜だってこっちは疲れてるのに求めてくるし」

呟いたニイナが思い出したようにさらさを見やる。

ニイナ「で、夜は始めたの?」

さらさが、ひなたの背中をトントンしながら首を横に振る。

さらさ「全っ然!でも、もう6ヶ月だしそろそろ良いのかな…とは思ってはいるんだけど、最近パパ出張多いしなかなかね」

ニイナ「出張!?」

さらさ「そうなんだよ。でも出張が多くて手伝えない分悪いと思ってるのかイクメンにはなりつつある」

ニイナ「そりゃ、怪しいな」

さらさ「え!?」

ニイナ「浮気してると、男の人って優しくなるらしいよ」

さらさの顔が固まる。美咲がくすっと笑った。


美咲「ニイナさん、脅しすぎ。しない人は、しないっていうし気にしなくても大丈夫よ」

ニイナ「でも、どうやって処理するの?男の人って女とは違うでしょ」

美咲「誘い待ちだったりしてね」

ニイナ「あーなるほど!木部家のパパは、シャイボーイなのか」

さらさ「誘い待ちとか、やめてよー」

さらさは笑って見せたが、ニイナの言う通り少し引っかかることがあった。
急に多くなった宗太の出張を少し不思議に思うことがある。


(まさかね……)

心の不安をかき消すように、ひなたの背中をさすった。


その夜……。

ベッドで携帯をいじりながら、検索欄をタップする。

(毎度、毎度、気にしすぎなんだけど…)

「セックスレス」と検索欄に打つと、第二候補ワードに「浮気」がでてくる。

(ひいいいい、検索するたび気になることが増えてしまう)

その時、宗太がさらさに背を向けて寝る。
さらさの胸に少し寂しさが押し寄せる。

(本当にしたくないのかな…美咲さんの言う通りまさか誘い待ち…とか?)

ママ友の言葉を思い出して、勇気を振り絞る。

宗太の大きな背中に顔をうずめ、Tシャツの裾をひっぱった。

宗太「……卒乳してから」

宗太が優しく、さらさの手を握って自分のお腹にそのまま腕を回した。
さらさの女性としてのプライドが少し傷ついた。

さらさ「そうだったよね」

何も思っていないような素振りを見せながらも、さらさのモヤモヤは晴れない。

(どうして…みんなしてるのに。もしかして、私のこと女性として見れないとか?)

さらさ「あのさ、宗太」

宗太「ん?」

さらさ「まさか…私たちってセックスレスじゃないよね?ただの卒乳待ちだよね」

宗太「…ん」
宗太は振り返らず、さらさの手をぎゅっと握る。

宗太「もう寝ろよ」

さらさ「え?」

宗太「夜泣きでお前も疲れてんじゃない。もう、寝よ」
もやもやが晴れないものの、宗太が手を握ってくれてぬくもりは感じる。

さらさ「わかった」
寝ようと、宗太の手を優しく払う。

宗太「おやすみ」
さらさ「おやすみ」


(大丈夫だよね、大丈夫)

さらさは、そっと目を閉じた。

………

さらさ「ん……」

(夜泣きもしてないのに、なんか起きちゃった)


ぐっすり寝れたのか、珍しく目が冴えてしまう。

(えーせっかくひなたが寝てるのに、寝れないなんて…!)

(今、何時だろう)


何時に起きてしまったか見ようと、自分の携帯を取ろうとする。
すると…

(ん……?)

横に並んでいた、宗太の携帯がlineでも受信していたのか光っている。
一度も宗太の携帯を見たことがなかったさらさだが、妙に気になる。

(でも、人の携帯を勝手に見るのはよくないよね)

気にせず、自分の携帯を取る。

同時に、悩みのタネであるセックスレスのことを思い出してしまった。
ニイナの浮気を疑う言葉も心のどこかに引っかかっている。


突然多くなった出張、最近のイクメンぶり、セックスレス…-

(宗太のこと信じてる。信じてるけど…)

ぐっと考えたあと、宗太の携帯を手にとった。

(ほんとごめん、これから家族として円滑に過ごせるために確認だけ、宗太)


悪いとおもいつつ、携帯を手に取る。

テキトーに考えたパスを入れ、3回目ではずれる。


Lineのアイコンをタップした、その時…-


(……これって)



つづく(第4話は2月17日公開)


Ayaka

ライター。ファッション雑誌、作詞提供、携帯ゲーム脚本など書くことを仕事にしています。現在、おてんば娘に振り回され中。
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