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私とはセックスレスなのに…夫が後輩と秘密のLINE発覚!どうすべき!?
第4話:見ちゃいけないLINE
(これって……)
Lineを送ってきていたアイコンに目を見開く。
伏し目がちだけど愛らしい雰囲気が漂うアイコンは、沙彩だった。
さらさの頭にずいぶん前に宗太から聞いていた沙彩の話が浮かぶ。
(確か、取引先にいたって言ってたよね)
(もしかして、仕事の話とかかな?)
信じたくない、でも言いようのない胸騒ぎがした。
さらさは寝ている宗太を見やると、そっとベッドを抜け出して
トイレに入った。
小さな空間で、携帯だけを見つめゆっくりと画面をスクロールしていく。
――――――line画面―――――――――
沙彩「今日のお打合せ、ありがとうございました」
宗太「ああ」
沙彩「やっぱり仕事もできる先輩って尊敬します」
宗太「ありがとう😊家じゃそんな褒められないから」
沙彩「じゃあまた会った時、私が褒めますよ!先輩、ほんとにすごい!」
――――――line画面―――――――
(宗太が絵文字を使うなんて)
少しぶっきらぼうなところのある宗太は、滅多に絵文字を使わなかった。
当たり障りない文面でも、宗太が喜んでいることを感じとることができる。
その時、あることに気が付く。
(この日にちって、どれも宗太が関西に出張って言ってた日だよね?)
沙彩と会っていた日は、必ず出張でいない日だった。
やりとりの時間を見ると、翌日まで一緒にいたような雰囲気が出ている。
(仕事の打ち合わせって、デートのこと?)
さらさの中で疑いが、確信に変わる。
授乳と寝不足で大変な日々、ご飯もゆっくり食べられない、
そんな生活の中で宗太が沙彩と会っていたのかと思うと
ふつふつと怒りがこみあげる。
(信じられない!子ども産んだら、こんな態度とられるわけ!?)
セックスレスも、沙彩とのことを考えるとさらさのプライドが一気に傷ついた。
トイレを急いで出て寝室に戻り、寝ている宗太のところまで歩いていく。
宗太を起こそうとした、その時…-
ひなた「んん……」
目を閉じたままのひなたが寝ぼけているのか
さらさを探すように、小さな手を上にあげる。
さらさは、宗太を起こそうとあげた手をそっとおろした。
(…ひなたに、こんなところ見せられない)
今にも頬に伝いそうな涙をぬぐって、ひなたのそばにいき横たわる。
小さな手をとり、ぎゅっと目を閉じた。
さらさ「ごめんね、こんなことになっちゃって…」
小さく呟き、宗太と沙彩のlineを思い出す。
カッと怒りがこみ上げたが、家では褒められないと言っていた宗太の言葉に
少し後悔も生まれる。
(私が優しくできてなかったからかな)
怒り、後悔、そして軽蔑…様々な感情を抱えながら、
さらさはいつの間にか浅い眠りに落ちていた…-
翌朝。
いつものように宗太が起きる。
さらさは目を開けようとしたものの、泣いたせいか
瞼が熱くあがらなかった。
さらさ「…宗太さ、私具合悪いかも」
宗太「え、なら今日は早く帰ってくるわ」
さらさ「いや、大丈夫。朝ごはんだけ自分でどうにかして」
宗太「ああ、テキトーに食べとく」
宗太が頭を掻きながらベッドから立ち上がる。
さらさが珍しく起きないことに宗太の顔がちょっと心配そうになる。
宗太「今日、会社休もうか?」
さらさ「いや、大丈夫」
寝室がシンとする。
宗太「…ならいいけど」
それ以上、何も言わず行ってしまう宗太にちょっと腹が立った。
(もうちょっと気にかけてほしい。とか私のわがまま…か)
モヤモヤした気持ちのままじっとベッドに横たわり、ひなたの寝顔を見る。
思い出すだけで、また涙がこみあげてきた。
このまま家にいて頑張れるのだろうか、宗太と揉めたところで
離婚してひとりで育てていく勇気もない。
今の自分には、宗太を責めたところで納得いく答えはなにもなかった。
(……とりあえず、実家に帰ろう)
頭が回らないまま、それだけが浮かぶ。
(この先のことは考えられないけど、家は出よう。宗太とはいられない)
宗太が玄関の扉を開けたと同時に、さらさも立ち上がる。
(とりあえず、明日約束してたママ会、キャンセルしなくちゃ)
携帯を取り出し、ニイナと美咲のグループlineをタップする。
さらさ「ごめん、明日いけなくなっちゃって…しばらく、家出することにしちゃった笑」
すぐに既読になり、美咲とニイナから矢継ぎ早に返事が飛んでくる。
さらさは答える力もなく、携帯を机に置いた。
さらさ「…さてと」
玄関の壁にあるフックにかけられた抱っこ紐を見やり、さらさは家での支度を始めた。
最寄りの駅のホーム。
抱っこ紐のひなたを抱え、ベビーカーに荷物を置く。
電車のホームの発信音がなんだか遠くに聞こえた。
(親にどんな顔したらいいんだろう)
連絡は入れたものの、宗太とのことまで話していなかった。
大きなため息をつく。
(本当に、これからどうしたらいいんだろうか…)
乗る電車が目の前に止まる。プシューとした音とともに扉が開いた。
と、その時…-
「さらさ先輩…?」
その声に顔をあげた。
さらさの目が見開かれる。
さらさ「沙彩…」
ヒールの音を鳴らし、沙彩がホームに降りてくる。
周りの雑音が遠くのほうに聞こえる。
さらさは時が止まったように、沙彩を見つめた。
つづく
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ライター。ファッション雑誌、作詞提供、携帯ゲーム脚本など書くことを仕事にしています。現在、おてんば娘に振り回され中。
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