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Comic

【シンデレラmamaガール】#6 浮気に溺れる夫と前を向く妻

mamagirlWEBだけで読める小説「シンデレラmamaガール」。

宗太との関係が修復できないまま、実家へ帰ったさらさ。一方の宗太は沙彩と……。

第6話:浮気に溺れる夫と前を向く妻

さらさ「あのさ、お母さん」
ひなたを抱えて玄関のドアに手をかけていた母が振り返る。

母「…なによ急に」
母が、困ったような顔をした。

さらさ「これからのことで真剣な話があってきた」
さらさの心臓がバクバクしてくる。

これまでの宗太のこと、沙彩にあったこと、沙織に聞いた海外の話。
育児に追われていた、さらさにとって刺激的で、向上心を刺激する内容だった。
その思いが、母の背中を見てさらさの中の何かを突き動かした。

思わず口にだした気持ちに、さらさがはっとする。

(いや、でも玄関で言うことじゃないか…)

困り顔のまま黙る母に、ぼそっと呟く。

さらさ「それだけ初めに伝えたくて、なんか言っちゃった」
母が、ふっと笑う。

母「…分かった。話は中でね。まったく、寿命が縮みそうだわ」

実家の中は、いつもと変わらない景色が広がっていた。
でも、なんだか今は懐かしく見えてしまう自分がいる。

(私、意外と帰ってなかったのかも)

小さいころと変わらずラブリーな布がかけられたピアノ。
その上に乗っかるぬいぐるみ。家族の写真。
リビングにある革のソファにどさりと座り込み、背をのばした。

さらさ「やっぱり、実家は落ち着くなー」
ひなたはソファのそばで、いつもと違う部屋に興味津々に目を輝かせている。

さらさ「ひなちゃん、ここがママのおうちですよー」

母「あんたのおうちじゃなくて、ばあばのでしょ」
ティーカップを持ってきた母が言う。

母「玄関開けたときは心配だったけど、なんだかしゃべると元気ね」

さらさ「いや、元気ではないんだけどさ(苦笑)まあ、ちょっとスッキリした状態ではいる」
さらさはティーカップに入った緑茶を飲むと、隣に座った母を感じながら話す。

さらさ「さっきの話のつづきなんだけどさ。どこから話せばいいのか分からないんだけど…」
自分の顔が映る、ティーカップを見つめる。

さらさ「私ずっと自分の好きな服を集めた店を持つのが夢だったの。セレクトショップ?まだ、先は分からないんだけど」

母がじっと耳を傾けてくれる。

(親に夫の浮気話するの気が引ける…けども…)

さらさ「実は宗太のことがあって…」

母に、今まであったこと、そして沙織にあって決心がついたことをすべて話した。


さらさ「浮気は確かに辛かったんだけど、それ以上に何もない自分が嫌だった」

話しているうちにうっすらと目に涙が溜まってしまう。

(でも、お願いするんだから)

母に視線を向けた。

さらさ「私、大好きな服でショップを開きたい」

さらさ「成功するまでここに住んで、ひなたの面倒とかお母さんに頼りたい」
母が驚いたように目を見開いた。

そのあと、考えるように言う。

母「何もない自分ね…そうねえ。その考え、私は賛成よ」

さらさ「え?」

母からの答えは意外だった。母は、冗談もうまくて、人あたりも良くて、専業主婦の鑑のような人だった。
今はパートで介護訪問の仕事をしている。

母「さらさに話すことじゃないけど、私とお父さんだって色々あったのよ」

さらさ「そうなの!?」

母「あるわよ!夫婦だもの。でもねえ、趣味もない私って…なんだろうと思う瞬間もあるの」

母「子育て終わって、さあエンジョイ!ってなっても、孫の世話あったり介護でてきたりなんだかんだ忙しくて。始めたパートも、やめたいときあるのよ。でも、辞めたところでやることもないのよ。忙しいけど…」

母「今になって振り返れば、何か自分のしたいこと、無理にでもひとつは持っていた方がよかったんじゃないかって思ってるわよ」

母の言葉ひとつひとつが胸に刺さる。

(お母さんも、そんなこと思っていたんだ)


母「ただし!3か月以上は面倒みれないから、私もパートがあるし」

さらさ「え!?」

母「この間、テレビでインスタグラム?で1カ月で稼いだ主婦が特集されてたわよ」

さらさ「そ、そ、そんなの無理でしょ!」
母が真剣な視線を、さらさに投げかける。

母「そんな意気込みでどうするのよ。ひなたがいて、あんたには時間がないでしょ。
決めたんなら、甘えず期限までに成功させなさい」

さらさ「うっ……」

(お母さんの言う通りだ)

母の言葉が、ぐっとさらさの背中を押す。

さらさ「3カ月間、二人三脚…どうぞよろしくお願いいたします」
さらさは母に頭を下げた。


その夜。

さらさは、ひなたを寝かしつけた後携帯を取り出す。

(宗太から、まったく連絡なかったな)

母や沙織と話し、意気込みよくいるものの夜になると、宗太と抱えている問題と向き合う時間がくる。
胸が痛かった。

(ここまで来たら、落ち込んでる暇なんてない)

(しっかりしなくちゃ)

Lineを開き、指で文字をタップしていく。

さらさ「しばらく、実家に帰ります。迎えに来なくて大丈夫」
携帯を握り締めながら、ベッドに横たわった。


一方、そのころ…-


都内に佇む、ビジネスホテル。
出張で訪れるサラリーマンが多いホテルに宗太はいた。

シャワーからあがり、腰元にタオルを巻き付けたままカバンの中でなる携帯のバイブ音に気が付き、手に取る。

さらさからのlineにわずかに目を見開いた。

すると、宗太の後ろから沙彩が画面をのぞき込む。

沙彩「さらさ先輩、実家に帰るって…もしかして、ばれちゃった…?」

宗太はちょっと考えるように上を見た。

でも自分の体に感じる、沙彩の柔らかい肌に気が取られる。

(最近、夜泣きひどかったし疲れただけだろ)

分かった。とだけ返事をして携帯をバッグに入れた。

宗太「…2,3日したら帰ってくるだろ」

沙彩「なら、良かった」

ふっと笑った沙彩が宗太にキスをする。


沙彩「でも、2,3日か…もうちょっといてほしいな」

宗太「え?」

沙彩「だって宗太先輩をひとり占めできるんだもん」

沙彩「…少しでも長く、堂々と先輩と一緒にいたい」

沙彩の甘い言葉に、宗太の鼓動が高鳴る。

宗太「なら、さらさが帰ってくるまでお前だけを見てる」


宗太は沙彩の手を自分のほうへ引き寄せると、ベッドに押し倒した。


数日後の朝。

分かった。と返信をしてから、さらさが帰ってこない。

宗太の携帯の待ち受けに映る、ひなたに心が少し痛む。
頭を掻きながら、寝室からリビングへ移動する。

子どものおもちゃが綺麗に片付いた部屋はどこかスッキリしていた。

キッチンから、沙彩の声が聞こえる。

沙彩「宗太先輩、おはようございます」

にこやかな沙彩が朝食を出してくれる。お味噌汁とごはんと焼き魚。
朝から手の込んだ料理が並べられた。

沙彩「今日もお仕事がんばってくださいね!」

さらさが帰ってこないことをいいことに、沙彩は家に泊まるようになっていた。

デートは嬉しかったが、さらさが帰ってこなくった数日間で一気に距離を縮め、
生活に入り込まれることに宗太は少し戸惑いを感じていた。

しかし、沙彩は気にした素振りを見せず嬉しそうに微笑む。

沙彩「ご近所さんには見られないように私も後から出勤しますね」

沙彩「電車でこっそり会いましょ」
にこっと笑う沙彩に、まだ鼓動が高鳴る自分がいた。

宗太「わかった」
味噌汁をすすりながら、リビングにあるカレンダーを見やる。

(明日で1週間か。さすがに…帰ってこなさすぎだよな)

沙彩と一緒にいられるのは嬉しい。完全に恋をしていた。

それとは別に、ひなたとさらさに会いたい自分がいる。

そして…罪悪感で押しつぶされそうな自分もいた。

心がモヤモヤとなんとも言えない毎日を過ごしていた宗太は
カレンダーをじっと見つめ考える。

(さすがに、おかしいよな)

朝食を食べながら、今後のことを考えた。


その日の夕方……

スーツを着た宗太が、インターホンを押す。
がちゃりという音とともに、義母の声がした。

インターホン「はい、春名です」

宗太「…すみません、宗太です」

宗太の心臓がバクバク音を立て始めた。


つづく


Ayaka

ライター。ファッション雑誌、作詞提供、携帯ゲーム脚本など書くことを仕事にしています。現在、おてんば娘に振り回され中。

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