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映画『深海のサバイバル!』公開記念!伊沢拓司さんにインタビュー

撮影:モリサキエイキ

Entertainment

映画『深海のサバイバル!』公開記念!伊沢拓司さんにインタビュー

■親は、点数や正誤に表れない子どもの努力を見つけてあげてほしい

――読者に向けて、子どもの勉強の見守り方についてもお伺いさせてください。子どもが主体的に勉強をするようになる方法はあるのでしょうか。

伊沢:勉強をいきなり好きになるというのは、性格が変わるようなこと。性格は変えられないので、勉強に向かっていける環境を整備してあげるといいと思います。成長を褒めるだとか、ご褒美をあげるだとか、何かしらの原動力を親が作ってあげることで、勉強の楽しさを自分の中に見出してくれると思います。あとは、周りに努力する人や勉強する人がいることも大事だと思います。例えば、親が勉強している姿を見せるだとか。

――伊沢さんご自身は、どんな原動力で勉強をしていたのですか?

伊沢:実は僕自身、今でも算数・数学はずっと苦手ですし、好きではないです。勉強自体は好きではないけど、勉強ができる自分は好きという自尊心を保っていたので、成長や他人に勝つことをモチベーションに勉強をしていました。

――子どもが勉強に向かうような自尊心の育て方とは?

伊沢:少しでも成長したら、その成長を認めてあげることです。学校教育は40人単位で行うので、子どもの小さな成長を捉えきれません。だからこそ親がフォローしてあげるといいと思います。たとえテストの点数が20点だったとしても、理解できていて最後に計算ミスをしただけの20点なのか、根本的な理解が足りない20点なのかで、子どもの努力量は異なるわけです。点数や正誤に表れない努力を見つけてあげることこそが、その子が自分を好きになって、嫌いでも努力を続けるための原動力になると思います。

 ――つい頭ごなしに怒ってしまうこともあるので、肝に銘じます……。ちなみに、伊沢さんは親御さんから「勉強しなさい!」と言われなかったタイプですか?

伊沢:なぜか「東大生の親は『勉強しなさい』と言わない」と思われがちですが、全然そんなことはないですよ(笑)。僕も「勉強しなさい」と言われて育ってきましたから。ただ、僕の親は言うタイミングが上手でした。ゲームなど遊びに熱中している時ではなく、ただダラダラしているだけの、ぐうの音も出ないタイミングで言ってきたので。

――反発したことはなかった?

伊沢:もちろんイラっとしたこともありましたが、なぜやるのか、何が大事なのかという勉強の必要性を論理的に説明されていたので、納得できましたね。親は、子どもの僕に対しても難しい言葉を使い、大人扱いするタイプでした。それもあって子どもながらに勉強はやらなきゃいけないものだという感覚を論理的に掴んでいました。

 ――「難しい言葉」というのは、例えば?

伊沢:覚えているのはすごくくだらない話ですが、僕が寝室で寝ようとしたら、父に「この部屋は色んなものが出るぞ。寝室だけに、『神出鬼没』だからな!」とか言われるんです。でも、僕は何を言っているのかわからないから笑いもしない。すると父はスベりたくないから、意味を解説する。「神出鬼没という言葉があって……」と。とにかく、子ども扱いせず言いたいことを言いたい放題言う親でした。ただ単に配慮が足りないだけだったのかもですが(笑)。結果的にプラスになりました。
 

■辛い思いをする確率を下げるために、努力は必要

――最後に、コロナ禍で我慢を強いられている子ども達に、伊沢さんからエールをお願いします。

伊沢:コロナはみんなを不平等に襲っていますよね。あまりダメージが無い子もいればダメージが大きい子もいます。それは本当に悲しいことですが、大人ですらまだ解決策は思いついていません。子どもは振り回される立場なので、余計大変だと思います。

でも、そんな状況でも、努力は、運の要素を弱めてくれるものです。あらゆることは成功・失敗という結果しかないですが、努力によって失敗する確率を下げることはできます。例えば、ノーベル賞を獲った学者が東大受験するのと、何もしていない人が受験するのであれば、100%ではないけれど、努力をしている分、前者の方が受かる確率は高いですよね。

だから、コロナ禍でも知識を蓄えたり、できる範囲で新しいことに挑戦したりという努力は続けてほしいと思います。いまできることをやれば、今後辛い思いをする確率を下げてくれるはずですよ。

撮影:モリサキエイキ
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