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ロバート山本がおすすめ!映画も小説も面白い『燃えよ剣』の魅力とは?

撮影:モリサキエイキ

Entertainment

ロバート山本がおすすめ!映画も小説も面白い『燃えよ剣』の魅力とは?

ロバートの山本博さんが芸人として、パパとして、日常の気づきを綴る本連載。
第136回目は、司馬遼太郎の『燃えよ剣』について。映画も小説もおすすめする理由は?

■司馬先生の小説『燃えよ剣』の偉大なる功績

10月15日、私、ロバート山本も参加した映画『燃えよ剣』がついに公開を迎えます。当初は去年の公開予定でしたが、コロナ禍の影響で1年以上延期に。ようやく皆さんにお披露目で、参加した自分としてもこの日を待ちわびました。

主人公の新選組副長・土方歳三役が岡田准一さん。そして、私が務めたのは……ボランティアエキストラ!

そりゃそうです。これほどの歴史的大作に“俳優”として私にお声がかかるはずもありません。でも、司馬遼太郎先生の原作『燃えよ剣』が好きなので、どうにかしてこの作品にかかわりたかった。だから、仕事とはまったく関係なく、原田眞人監督の「原田組」のボランティアエキストラに登録することで、映画に参加させていただきました。

『燃えよ剣』はとにかく面白い話で、これだけ新撰組が世間に知られ、新選組ファンを増やしたのって、司馬先生の小説『燃えよ剣』の影響は大きいはずです。

というのも、『燃えよ剣』を読んだら、新選組のことが好きになっちゃいます。僕もそうですけど、読むと新選組のことが気になって別の新選組本にも手を出して、さらに新撰組が好きになっていく……そんなサイクルが生まれるんです。

今の世の中にある多くの新撰組作品は、「新選組というものを司馬遼太郎先生に教えてもらいましたよね? その真実はこうゆうことですよ」みたいなものばかり。それくらいの大ヒット作品。だからまず、大前提として司馬先生の『燃えよ剣』のことを皆さんにも知っていただきたいです。

撮影:モリサキエイキ

■新撰組を人気グループに押し上げた『燃えよ剣』

正直言って、新選組なんて本来は日の目を見るような存在じゃないんです。まず、武士じゃなかったわけですから。

たとえば、織田信長や徳川家康だったら、天下統一を目指す上での生まれながらのポジションというか、出自からの名のある武家で生まれているわけです。戦国時代じゃなくても、幕末の徳川慶喜や坂本龍馬も……まあ、龍馬も有名になるべくしてなる家柄ではないんですけど、有名になる歴史上の人物ってだいたい名家出身です。「生まれながらにして期待された人たち」ということですね。

それに対して新選組は、基本的に農民やゴロツキの集まり。剣術も、なかなか実戦で使われない江戸時代に増えた剣術道場、いわゆる「剣道」で学んだ趣味に近いもの。そんななかで腕っぷし自慢の奴らが集まってできた戦闘集団です。

なぜ彼らが台頭できたかといえば、幕末になって急に訪れた動乱期、「自分の命を幕府のために……」なんて気概のある人物は武家出身にはいない。むしろ、「幕府と共倒れするわけにはいかない」と、自分の家を残すことに必死だったりします。

そんな時代において、「俺なんか無名だし命がけで幕府を守ってやるよ」という気概を見せたことで、農民上がりにもかかわらず、結果として武士扱いとして認められたのが新選組なんです。

ただ、自分たちの命が明日あるかもわからないような生き方で、反幕府勢力をバンバン斬っていくものだから、相当怖かったらしいです。だんだら模様の羽織を着て、「誠」の文字を掲げているから、「俺たちは正義」みたいな空気ありますけど、見方を変えれば暗殺集団ですからね。そんな新選組を人気グループに押し上げるのに一役も二役もかっているのが『燃えよ剣』なんです。

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