撮影:モリサキエイキ
Entertainment
岡田准一さん「僕に斬られますか?」の提案にロバート山本はどう答えた?
第137回目は、いよいよ公開される映画『燃えよ剣』について。エキストラとして参加した山本さん。
主演の岡田准一さんから声をかけてもらったそうですが……そこで下したまさかの決断とは?
■映画『燃えよ剣』、ついに公開です!
以前、テレビのトーク番組で、「山本は事務所を通さず、エキストラに出ている。闇営業だ!」と話題になったことがあります。もちろん闇営業ではなく、エキストラは僕のキャリアのひとつ。そして今回またひとつ、僕がボランティアエキストラで参加させていただいた作品が公開されます。
10月15日公開の映画『燃えよ剣』。原作は司馬遼太郎先生の超ベストセラー小説で、主人公の新選組副長・土方歳三役が岡田准一さん。ほかにも、柴咲コウさん、伊藤英明さん、山田涼介さん……と、本当に豪華な顔ぶればかり。そんななかに、ボランティアエキストラであっても加われたことは本当に記念です。
エキストラと言ってもいろいろ大変なんです。撮影場所が滋賀で、集合はだいたい早朝。ほとんどのボランティアエキストラは地元に住んでいる方ですけど、東京から参加する僕は前泊しなければ間に合いません。当然、新幹線代も宿泊代も自腹です。ボランティアエキストラですから。
迎えた撮影前日、東京駅から滋賀に向かおうとしたところ、「明日の撮影はバラシになりました」とメールが届きました。でも、またすぐ別のメールが来て、「明朝4時半集合で別の撮影があるので、こちらに参加できる方は返信ください」と。
人数制限があるので、参加希望したからといってメンバーに入れるわけじゃありません。「合否の発表は22時になります」と書いてあるんですけど、それを待っていたら僕は間に合わない。なので、合否はわからないけど、とりあえず新幹線に乗っちゃおうと。結果的に、新幹線の中で「合格されました」の通知が届いてホッとしましたね。
■「よかったら山本さん、僕に斬られますか?」
僕がいただいた役は、「旧幕府軍死体」。周りには60~70人のエキストラの方がいましたけど、特に誰にも「ロバート山本だ」と気づかれず、死体役の格好で血のりをつけて、何度何度も現場に立ち続けました。
ときには、「あ、これ100%映ってないな」とわかるカメラ位置の時もあります。そんなときでも、「俺は今、この映画の背景として機能しているんだ」と信じて、ひたすら死体役を務めあげました。
そんななかで、ある事件が起こります。エキストラしかいない集合場所に主演の岡田准一さんがやって来たんです。もう、みんな騒然です。「うわ、土方歳三だ」「岡田さんがこっちに来た!」と驚くなか、岡田さんは僕の前で足を止めて、「山本さんですよね?」と声をかけてくださいました。
なぜ、気づかれたのかというと、以前の原田監督作品「関ヶ原」でもボランティアエキストラで参加していたので、それを知っていた藤堂平助役で出演している、はんにゃ金田が「今回もエキストラで山本さん参加するかも?」と話しをしていたらしいのです。
しかし、その日僕は旧幕府軍の一兵士の気持ちになっているため、土方さんから声をかけられてあまりのことに目を合わせることもできず、「山本さんですよね?」の質問に対して、伏し目がちに「はい」とゆっくり返事。そんな僕に岡田さんは、「もしよかったら山本さん、僕に斬られますか?」と提案してくださったんです。
この映画でも岡田さんは自ら殺陣を作り撮影されているので、一人増やしたりなどできたのでしょう。エキストラの自分からしたらカメラに映るし、土方歳三に斬られるなどこんな大チャンスはありません。でも、僕はそのとき「旧幕府軍の死体」として撮影参加していましたので「いえ、結構です」とお断りしました。
もう岡田さんも、周囲の皆さんも「え?こいつ、マジで言ってんのか?」という顔をされていましたね。
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