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ロバート山本「息子よ、たくましく生きるなら『鳥居さん』に学べ!」

撮影 モリサキエイキ

Entertainment

ロバート山本「息子よ、たくましく生きるなら『鳥居さん』に学べ!」

 ロバートの山本さんが芸人として、パパとしての気づきを綴る本連載。第68回は、ロバート山本さんが語る、タメになる歴史のエピソード。歴史が苦手だった人こそ必見です!

■戦国好きには有名な、二人のすごい鳥居さん

2歳にしてすでに全国10の城を見て回る戦国マニア見習いの我が息子。今後も一緒に歴史や戦国武将について学んでいきたいと思っていますが、声を大にして言いたいのは、学ぶべき対象は大大名だけじゃないぞ、ということ。大名に仕える家臣や、なんなら足軽のような一兵卒からも学ぶべきことってたくさんあるんです。なかでも今回ご紹介したいのが「息子よ、『鳥居さん』から忠義心と男気を学べ」。戦国好きには有名で、でもそうじゃない人にはあまり知られていない、ふたりのすごい鳥居さんがいるんです。まずひとりは、徳川家康を幼少期から支え続けた家臣、鳥居元忠です。年齢は家康よりも少し上ですけども、幼馴染みたいな関係性で遊びも勉強も戦もずっと一緒だった人物です。

■家康のために殉じた老臣、鳥居元忠に学べ

天下分け目の「関ヶ原の戦い」は歴史好きじゃなくてもご存じかと思いますが、その関ヶ原の前哨戦に「伏見城の戦い」があります。鳥居元忠は、その伏見城を家康の代わりに守り、そこで命を落としました。その死に様が壮絶なんです。伏見城は京都にあった徳川家の前線基地。石田三成の西軍と一触即発状態でいつ狙われてもおかしくない状況のなか、家康は北関東で上杉家と戦わなくてはならなくなります。もし、上杉家との戦いが始まれば、手薄になった伏見城を狙われるのは明らか。つまり、「この城に入ってくれ」というのは、「徳川勢の為に命を捧げてほしい」と同義なんです。そんなことを頼めるのは、気心の知れた徳川のために命を捧げられる元忠しかいなかったわけです。元忠もすべてを理解した上で、「わかりました」と。それどころか、「殿、上杉軍と戦うならもっと兵が必要なので、こちらの兵士を連れて行ってください」と、自分の兵を家康に差し出すんです。最後の夜、家康と元忠はふたりだけで膝付き合わせて酒を酌み交わし、思い出話に花を咲かせたとか。元忠が去った後、家康は号泣したとも言われています。こんな“忠義の男”っていないですよね。その後、元忠たちはわずか1800の兵で、約4万の軍勢で攻める西軍を迎え撃ち、命を落とすまでなんと13日間も粘り続けました。この粘りによって、西軍のその後の動きを遅らせることに成功し、見事徳川軍の勝利に大貢献しました。もちろん、時代が違うから、息子にも「死んででも誰かを守れ」と言いたいわけじゃないんです。でも、今の平穏な時代があるのは、こういった方々の命がけの戦いがあったからだと知ってほしいです。

■死してなお歴史に名を残した足軽、鳥居強右衛門に学べ

そしてもうひとりの「鳥居さん」は、織田信長・徳川家康連合軍と武田軍が戦った「長篠の戦い」で活躍した足軽、鳥居強右衛門です。「強右衛門」と書いて「すねえもん」と読みます。そもそもの発端は、徳川家の城である長篠城を武田軍に包囲されたこと。武田軍は1万5千。一方、長篠城にいた兵は1000にも満たず、勝ち目がないため籠城するしかありません。でも、攻められていることを徳川本体に知らせないと城は落とされてしまう。ここで、「俺行きます」と手を挙げたのが鳥居強右衛門です。一番ペーペーだった兵士なんですけど、「俺が必ず家康さまに会って、援軍要請してきます」と、60キロ以上離れた家康のいる岡崎城に向かって旅立つんです。長篠城のまわりは武田軍が包囲しているなか、見つかったら殺されると強右衛門は命がけで川を潜水しながら脱出に成功し、その後は岡崎城まで「走れメロス」状態で走り続け、家康への戦況報告に成功します。「よくやった強右衛門。休め」と言われるわけですが、「いや、仲間たちに『もうすぐ援軍が来るぞ』と伝えたいので」と、またすぐ長篠城へ逆戻り。ただ、最後の最後城で待つ仲間に会う直前に武田軍に捕まってしまいます。武田軍の拷問を受け、磔にされた強右衛門。武田軍は長篠城にいる兵士たちの戦意喪失を狙って、「長篠城に向かって『援軍は来ない』と叫べば命は助けてやる」と強右衛門に交換条件を持ちかけます。強右衛門は渋々「わかりました…」と答えます。仲間の待つ長篠城の前に貼り付けにされて連れてこられた強右衛門は「もうすぐ家康様の援軍到着!持ち堪えよー!」と叫ぶんです。意気消沈していた長篠城は勢いを取り戻しました。当然、強右衛門はその場で処刑されてしまいましたが。このおかげで長篠城は援軍が来るまで耐え抜くことができ、最終的に織田信長・徳川家康連合軍が勝利を収めたんです。その戦いこそ鉄砲三段撃ちで有名な長篠戦いです。自分の命と引き換えに仲間を救った二人の鳥居さん。こんな生き様の日本人がいたんだぞ、ということを息子も知ってほしいし、足軽でも一兵卒でも歴史に名を残す可能性があるんだ、という学びを得てほしいですよね。

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ロバート 山本博

ライター
2018年で結成20年を迎える、お笑いトリオ・ロバートのメンバー。テレビ番組や劇場でのコントではツッコミとして活躍する一方、ボクシングのトレーナーとしてレッスンを開講したり、相方の秋山竜次から「むちゃぶり」で描かされた「むちゃぶりかみしばい」(文芸社)が出版されるなど、多方面に渡って活動している。趣味:ボクシング(フェザー級、戦績:1戦1勝1KO、トレーナーライセンス取得)、ポケモン、お城巡り、蕎麦屋巡り、体を動かすこと特技:ルービックキューブ、ロボットダンス、オカリナ、運動保育【育児絵日記Instagram】yamamotohiroshipapa
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