「夏休みはこうやって乗り切りろう！」小児科医ママが実践！子どもの体調管理と楽しい夏休みの過ごし方【医師監修連載⑤】

「早寝早起き朝ごはん」が今どきの夏休み体調管理術

いよいよ夏休みがやってきますね。毎年のことながら、長い休みをどう過ごそうかと頭を悩ませているママも多いのではないでしょうか。今年は特に猛暑が予想されるため、体調管理がいつも以上に重要になってきます。今回は、夏休みを安全で楽しく過ごすためのポイントを体験談を交えてお話しします。

夏休みに入ったらいちばん気をつけたいこと、それは体調管理です。従来の「早寝早起き朝ごはん」という考え方も、猛暑の現代では少し目的が変わってきました。 
確かに基本的な生活リズムは大切ですが、今は昼間が危険なほど暑くなっています。つい夜更かしもしがちですが、できるだけ早寝早起きを意識していただきたいのは、朝の涼しい時間帯に外遊びをするため。体を動かしたいのであれば、昼間の猛暑を避けて、朝の公園で遊ぶしかない状況になっているのが現実です。 
そして、朝ごはんを食べずに外遊びすると脱水症状になりかねません。外遊びをする時は、冷たい飲み物を保冷水筒で用意し、首を冷やすタオルなども必須アイテムです。イオン水やスポーツドリンクのパウチタイプを用意して凍らせて持ち歩きましょう。まとめ買いをして家族みんなでシャリシャリ召しあがってくださいね。 

そして、危険サインを見逃すな！ 汗をたくさんかいて顔が赤くなったら、それはレッドカード！すぐに休ませて体を冷やすことが大切です。昼間は無理して外で遊ばないで、家や屋内プール、図書館などで過ごして。大型ショッピングモールを散歩するのも一つの手です。夕方以降涼しくなったら、また外で遊びましょう。 
なお、日光を避けすぎるのも大問題。赤ちゃんも含めて過度に紫外線を避けないように。適度な日光浴は皮膚の表面でビタミンDを作り、骨を丈夫にする医学的な効果があります。 
また、生活リズムの調整は柔軟にすることも大切です。 早寝早起きがなかなかできなくても、普段の起きる時間や寝る時間から2時間以内のずれであれば、後から修正できます。夏休みが終わる1週間前、旅行や帰省で何日か休むときくらいは、多少の遅寝遅起きは問題ありません。
神経質に時間管理をするくらいなら、楽しく過ごせることを優先するのでOKです！

「どう過ごす？夏休み！」親子で乗り切る長期休暇

夏休みの過ごし方に親は頭を抱えますよね。昼間・日中に予定を入れていないと、子どもたちはず～っとだらだら動画やテレビを見てしまう…これが悩みの種ですよね。 
救急搬送が続くほど外は危険な暑さなので、昼間涼しい室内にいることは仕方がないのですが、それでも事前にいろんなスケジュールを立てておきましょう。
時間割のように「●時起床、●時から学童、●時から●時までは公園、●曜日は図書館、●日から●日まではサマースクール」というように貼り出しておくと良いですね。
後から決めるのではなく、夏休みに入る前に親子で計画を立ててください。夏休みに入って何日かダラダラ過ごしてから慌てて計画を立て、そのスケジュール通りに過ごしなさい！と言っても、うまくいきません。
宿題も早め早めに終わるように親が管理しないと、最後に大人が泣くことになります…。 
サマースクールなどは早いところでは6月で締め切りますが、自由研究を対象としたワークショップ系はたくさん出ていますので、探してみるといいですね。 

子連れ旅行や遠出は本当に大変です。子どもは毎年大きくなり、興味関心のレベルも変わっていくので、去年、親子で楽しめたことを今年も楽しめるとは限りません。だから、夏ならではの、そして子どもが興味関心を持ちそうな体験を一回はさせてあげたいですね。 
おうちで楽しむ夏休み、おうちで過ごすのも、ちょっとしたアイテムを追加で買っておくとOKです。
流しそうめんの機械やかき氷セット、室内で砂場や雪遊びができるツールも出ています。部屋を暗くしてポップコーン食べながらおうち映画館ごっこ、お風呂に水を張って水着とゴーグルでプールごっこ。室内テントも持っておくと、おうち冒険ごっこができます。小さなペットボトルにビーズを入れた手作り楽器、水のペンの塗り絵、マグネットの絵合わせ本など、リアルでシンプルなおもちゃを与え一緒にやってあげると、スマホに頼らなくても子どもは意外と夢中になります。 

夏休みこそ気をつけたい！スマホとの付き合い方

夏休みは普段以上にスマホや動画に頼りがちになる時期です。猛暑で外遊びが制限されるこの長期休暇だからこそ、スクリーンタイムとの付き合い方を見直してみませんか？ 
世界保健機関（WHO）は「2歳未満はスクリーンタイムなし、2〜4歳でも1日1時間まで」を推奨しています。でも夏休み中は、この時間をあっという間に超えてしまうことも。いちばんの問題は「一方通行」の時間が増えることです。 
子どもの脳は親子のやり取りで育ちます。スマホや動画を完全に禁止するのは現実的ではありませんが、ちょっとした工夫で変わります。まずは簡単ですが、タイマーを子どもと一緒にセットするところから。「ピピッてなったらおしまい」の約束の見える化です。ぐずってもおしまいにします。少しずつでも、切り替えや約束を守る練習になります。 
そして親子で一緒に見る時間を作ってください。「わぁ！」って一緒に驚いたり、「これなあに？」って質問したりすることで、一方通行が双方向のコミュニケーションに変わります。「見せすぎちゃった日」は親なら誰にでもあります！そんな日は大丈夫、双方向の楽しいやり取りで経験の「上書き保存」を。

涼しい時間に普段より長めに外遊びで体をめいっぱい動かしたり、寝る前にお部屋を暗めにしてゆったり過ごし、絵本の読み聞かせ時間を作って。 夏休みが終わったとき、「スマホがないと過ごせない子」にしてしまわないように。この長期休暇を利用して、スマホに頼らない時間の過ごし方を身につけさせてあげましょう。デジタルとリアルの体験のバランスを取る生活は、完璧じゃなくていいので続けることがいちばん大切です。 

夏休みにやってみてほしいこと

最後に、夏休みだからこそトライしてほしいことをご紹介します。
それは美術館めぐりです。普段ならあえて行かない美術館、もしまだ子どもが小さくてちょっとしか見られなかったり、走り回っておしまいになったりしても大丈夫です。ほんの少しでもアート作品の色使いや雰囲気が目に入ることで、アニメキャラの配色に慣れている子どもたちの脳にとっては新鮮で、新しい感性の芽につながるはず。親が興味がなくてもチャレンジを。私もアートには興味もなく過ごしてきましたが、偶然美術展に行ったことがきっかけで長男がゴッホが好きになり、その後は趣味の一つと言えるようになりました。 
子どもたちは絵を見るだけではなく、その解説や画家のエピソードが好きだったりします。NHKの「びじゅチューン！」という番組はYouTubeでも見ることができ、アート自体を楽しむことができる番組です！美術館に行く前に一緒に見ておくと、より楽しめます。 

夏休みは親子の絆を深めるチャンス

親にとって夏休みの過ごし方を考えることは確かに大変ですが、普段はできない体験を子どもと一緒にする絶好のチャンス。完璧を目指さず、「今年の夏は楽しかったね」と笑顔で振り返れるような夏休みを過ごしてくださいね。
休み明けには、親の方がヘトヘトになることを視野に入れて、休み明けは予定を詰め込まないようにして自分をいたわってくださいね。