【1月】時候の挨拶を例文つきで紹介！上旬・中旬・下旬の挨拶文と季語

■時候の挨拶とは？

時候の挨拶は、仕事の取引先や目上の方に向けた挨拶状や文書、プライベートでの手紙などで使われる、季節を表現した文章のことです。
書き出しの「拝啓」「謹啓」などの頭語に続く「○○の候」など、二十四節気に合った季語を使います。文頭に季節の挨拶を添えることで、相手への気遣いを表現できます。ただし、LINEやチャット、親しい方とのメールなど、カジュアルなやりとりには必要ありません。

■挨拶文の書き方や構成

挨拶文の書き方や構成は以下の通りです。

＜挨拶文の書き方・構成＞

1. 【前文】……「拝啓」などの頭語を書いてから時候の挨拶 
   
2. 【主文】……本文・本題
   
3. 【末文】……結びの挨拶。相手の健康や繁栄を祈る言葉 ⇒「敬具」などの結語
   
4. 【後付】……差出人を書いてから宛名        

挨拶状を書く際は、まず前文に「拝啓」「謹啓」などの頭語を入れ、続いて「○○の候」と時候の挨拶を書きます。
主文は、文字通り文章の本題となる部分です。
末文には、「ますますのご発展を心より祈念しております」といった、相手の健康や繁栄を祈る言葉を入れ、「敬具」「謹言」などの結語で結びます。
最後に、文書の差出人の名前・宛名の順に後付を書きます。

■＜ビジネス編＞【1月の挨拶文】書き出しを例文つきで解説

ここからは、1月全般と上旬・中旬・下旬で、ビジネスシーンの前文に使える挨拶文の書き出し例を紹介します。

・1月全般に使える挨拶文

まず、1月全般に使える主な時候の挨拶を解説します。

＜1月全般の挨拶文＞

• 厳寒（げんかん）の候
• 寒中（かんちゅう）の候
• 厳冬（げんとう）の候

厳寒の候は、寒さが厳しい頃になったという意味。寒中の候は1年で最も寒い季節を迎えたことを指し、厳冬の候は寒さが一層厳しくなったことを表します。

＜例文＞

「厳寒の候、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます」
寒さが厳しくなる冬を表し、1月5日頃の小寒から2月3日前後の大寒まで使える言葉です。

「寒中のみぎり、○○様におかれましては、ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます」
寒中は二十四節気の小寒から大寒の間、1年で最も寒い時期を表し、1月5日頃から2月3日頃まで使用できる挨拶です。

・1月上旬に使える挨拶文

次に1月上旬に使える挨拶を解説します。

＜1月上旬の挨拶文＞

• 新春（しんしゅん）の候
• 初春（はつはる）の候
• 七草（ななくさ）の候

新春の候、初春の候は、正月を迎えたことを表す新年にふさわしい挨拶。七草の候は、1月7日の七草の節句に合わせて使用します。

＜例文＞

「新春の候、貴社にはますます幸多き年になる吉兆とお喜び申し上げます」
正月を迎えたおめでたい時期を表します。元旦から1月7日（地域によっては1月15日）までに使える挨拶です。

「七草の候、○○様にはますますご壮健のこととお慶び申し上げます」
七草の候は1月7日の七草の節句直前か当日に使えます。季節の行事にふれることで、相手に親しみを伝えられるでしょう。

・1月中旬に使える挨拶文 

1月中旬の挨拶を解説します。

＜1月中旬の挨拶文＞

• 小寒（しょうかん）の候
  
• 晩冬（ばんとう）の候
  
• 寒風（かんぷう）の候

小寒は二十四節気のひとつであり、1月5日～19日頃のこと。晩冬は小寒から大寒が終わる頃を指す言葉です。寒風は冷たい冬の風を表しています。

＜例文＞

「寒風の候、貴社におかれましては大慶に存じ上げます」
寒風の候は、冬の寒さが身に染みる様子を表し、1月中旬から下旬頃まで使用できます。 

「晩冬の候、皆々様におかれましては一段とご活躍のことと存じます」
晩冬の候は小寒の1月5日頃から大寒の2月3日頃まで使える挨拶です。

・1月下旬に使える挨拶文

1月下旬に使える時候の挨拶を紹介します。

＜1月下旬の挨拶文＞

• 大寒（だいかん）の候
  
• 酷寒（こっかん）の候

大寒や酷寒は、1年で一番寒い時期であることを表す言葉です。 

＜例文＞

「大寒の候、初春を迎えますますご壮健のこととご拝察いたします」
大寒は、二十四節気で1月21日頃からの15日間を表します。1月下旬から2月上旬の立春まで使われる挨拶です。 

「酷寒の候、○○様におかれましては、お健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます」
1月の寒さが一層厳しくなる時期に使用できます。2月3日頃の立春を過ぎると使用できないためご注意ください。 

■＜ビジネス編＞【1月の時候の挨拶文】結びの挨拶を例文つきで解説

ここからは1月のビジネス文書に使える、結びの挨拶を例文つきで解説します。

・1月上旬に使える結びの挨拶 

1月上旬に使える結びの挨拶を確認しましょう。

＜1月上旬の結びの挨拶＞

• 初春のみぎり、皆様のご健康とご多幸を祈念申し上げます
  
• 極寒の候ではございますが、〇〇様のますますのご発展をお祈りいたします

本文最後の結びにも、季節の挨拶を入れられます。新年を迎えた1月らしく、相手の発展を祈念する内容がふさわしいでしょう。

・1月下旬に使える結びの挨拶 

1月下旬に使用できる結びの挨拶を紹介します。

＜1月下旬の結びの挨拶＞

• 厳寒の折、皆様のご無事息災をお祈り申し上げます
  
• 寒風の候、くれぐれもお体にはご留意ください

厳しい寒さとなる1月下旬は、相手の体調を気遣う挨拶や、一般的な挨拶も使用できます。シーンに合わせた内容を選びましょう。

■＜プライベート編＞【1月の時候の挨拶文】書き出しを例文つきで解説

ここからはプライベートな手紙や文書で使える、やわらかくカジュアルな印象の挨拶を紹介します。

・1月上旬に使える挨拶文

1月上旬に使える、やわらかでカジュアルな挨拶文の書き出しを紹介します。

＜1月上旬の挨拶文＞

• 年も改まり、決意も新たにご精進されていることと存じます
• 七草粥の時期となりました
• 新春とは名ばかりの厳しい寒さが続いております

新年を迎えたことや七草粥など、新しい年の始まりについてふれる内容にしましょう。

＜例文＞

「新春とは名ばかりの厳しい寒さが続いておりますが、お変わりありませんか」
新春を迎えつつ、寒さ厳しい季節に合わせ、相手を気遣う一言を添えます。

「七草粥の季節となりました。皆様お元気でご活躍のことと存じます」
1月7日の七草の節句に合わせた季節感のある挨拶です。

・1月中旬に使える挨拶文

1月中旬に使えるやわらかい表現の挨拶文を紹介します。

＜1月中旬の挨拶文＞

• 松の内のにぎわいも過ぎ、平生の暮らしが戻ってまいりました
• 寒の入りを迎え、冷たさが日増しに深まるこの頃
• 相変わらずの寒さで春の訪れが待たれる昨今ですが
• 冬の厳しい寒風が身に染みる時期となりました

1月中旬は正月を過ぎ、普段の暮らしに戻るさまや、下旬に向けさらに寒さが深まる様子を表現しましょう。

＜例文＞

「寒の入りを迎え、冷たさが日増しに深まるこの頃、お元気でお過ごしでしょうか」
寒の入りは、二十四節気の小寒が始まる1月6日頃のこと。寒さが深くなる気配を伝えられます。

「松の内のにぎわいも過ぎ、平生の暮らしが戻ってまいりました。そちらはいかがでしょうか」
松の内は正月の松飾りをしておく期間のことで、一般的に関東で1月7日、関西で1月15日までです。正月から平時の暮らしへ戻る様子を表しています。

「冬の厳しい寒風が身に染みる時期となりました。その後お変わりございませんか」
厳しい寒さが続く1月中旬に使える挨拶です。相手への気遣いを伝えられます。

・1月下旬に使える挨拶文

1月下旬に使えるやわらかい挨拶文を紹介します。

＜1月下旬の挨拶文＞

• 大寒を迎え、寒さがより一層厳しさを増しております
  
• 暦の上では大寒とはいえ、穏やかな冬晴れの日が続いております
  
• 雪晴れの空が鮮やかな折

1月下旬はますます厳しさを増す寒さや、時折みられる穏やかな冬晴れの日、鮮やかな冬の青空の様子を表現するといいでしょう。

＜例文＞

「大寒を迎え、寒さがより一層厳しさを増しております。風邪などお召しになっておられませんでしょうか」
大寒は1月20日頃から2月3日頃に使える表現です。寒さが深まる季節のため、相手の体調を気遣う一文を添えるといいでしょう。

「暦の上では大寒とはいえ、穏やかな冬晴れの日が続いております。皆様お元気でお過ごしでしょうか」
寒さ深まる大寒の中の、穏やかな冬晴れを表現しており、あたたかみが感じられる表現です。

「雪晴れの空が鮮やかな折、お仕事にも新たな気持ちでご精進されていることと存じます」
雪晴れは雪が降り積もった後、空が晴れて雲のない青空が広がる様子。厳しい寒さの中にあって、さっぱりとした青空が見えることで、ポジティブなイメージが伝わる表現です。

■＜プライベート編＞【1月の時候の挨拶文】結びの挨拶を例文つきで解説

ここからはプライベートな文書で使用できる1月の結びの挨拶を紹介します。

・1月上旬に使える結びの挨拶

1月上旬に使える結びの言葉はこちらです。

＜1月上旬の結びの挨拶＞

• 今年も幸多き年でありますよう、心よりお祈り申し上げます
  
• 寒い日が続きますが、どうぞご自愛ください
  
• 皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします

1月上旬の結びの挨拶には、新年の始まりにふさわしく、相手の健康や幸せを気遣う言葉を入れるといいでしょう。

・1月下旬に使える結びの挨拶

1月下旬に使える結びの挨拶です。

＜1月下旬の結びの挨拶＞

• 寒さもこれからが本番です。どうぞお体を大切に
  
• 春を待ちわびつつ、体調を崩さないよう気をつけてお過ごしください
  
• 寒さ厳しき折から、皆様のご健勝とご多幸をお祈りしております

1月下旬は寒さがより一層厳しくなる頃。相手への気遣いの言葉を入れましょう。

■1月の挨拶文に使える季節の言葉

最後に、1月の挨拶文に使用できる季節の言葉をピックアップしました。

＜1月の季節の言葉＞

このような言葉を使うと、1月の新年らしさを彩りとして加えられるでしょう。ぜひ取り入れてみてください。

■例文を参考に1月の時候の挨拶を上手に書いて気持ちを伝えよう

時候の挨拶として1月に使える表現を紹介しました。時候の挨拶は、季節を重んじる日本の美しい伝統のひとつ。文書を読む相手を気遣いながら、例文を参考に文書に取り入れてくださいね。