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Lifestyle
【産婦人科医監修】「更年期はいつから?」更年期が始まる年齢や症状、原因や対処法まで解説
年齢を重ね、心身ともに不調が出てくると、「更年期はいつから?」と気になる方は多いでしょう。急なほてりや発汗、イライラや憂うつな気分などの症状は、男性よりも特に女性のほうが顕著にあらわれるとされています。一般的に閉経の前後5年を合わせた10年間が更年期とされていますが、実際に更年期はいつから始まるのでしょうか。今回は、更年期が始まる年齢の目安や終わりのサイン、プレ更年期について紹介し、不調の原因やその改善方法などを詳しく解説します。
松葉悠子
産婦人科専門医。勝どきウィメンズクリニック院長および晴海ウィメンズクリニック理事長。
金沢大学医学部卒。東大病院、日立病院、豊島病院、愛育病院等で研修および勤務し産婦人科診療に従事。中央区医師会理事、日本産科婦人科遺伝診療学会認定、性教育認定講師。
■更年期はいつから始まる?
「更年期は何歳から始まっていつまで続くのだろう?」「46歳の私は更年期?」と40代も半ばになると、年齢と更年期障害の関係が気になる方も多いでしょう。
ここでは、更年期が一般的に始まるとされる年齢や終わる年齢について見ていきます。
・更年期はだいたい45歳から
平均閉経年齢は50.5歳といわれ、閉経を挟む前5年である45歳ごろが更年期の始まる時期にあてはまります。ただし、30代後半から体の変化が出てくる人や、50歳以降になってから更年期症状が出始める人もいるなど、始まる時期は個人差が大きいです。
また、閉経前に見られる大量出血や、ホルモンバランスの変動が原因で更年期障害の症状が強く現れることを“最後の大暴れ”と呼ぶこともあります。
・更年期は55歳くらいまで続くことが多い
一般的に、更年期は閉経を挟んで50代後半くらいまで続くとされます。明確な更年期の終わりのサインはありませんが、体が慣れてきたらという見方もあるようです。しかし、更年期症状は収まったと思ったら再発することも。
人によって閉経のタイミングは違うため、更年期の期間も異なります。そのため、自身の閉経のタイミングを意識することが大切です。
・プレ更年期は30代後半から
30代後半から40代前半といった更年期の前段階の時期をプレ更年期と呼びます。閉経に向けて女性ホルモンであるエストロゲンが減少し、心身に少しずつ変化が起きやすくなる時期です。中には、20代や30代といった早い時期から、ほてりやイライラなどの更年期障害に似た症状を感じる方もいるでしょう。
これらは若年性更年期障害とも呼ばれますが、正式な疾患名ではありません。20代や30代と早いうちから更年期障害に似た症状を感じている場合は、月経前症候群(PMS)である可能性も。インターネット上にもプレ更年期や月経前症候群(PMS)のチェックリストがあるので、気になる方は自己診断してみるといいでしょう。
■更年期とは?

更年期を迎えると、卵巣機能が低下しはじめ、女性ホルモンのエストロゲンが大きく揺らぎながら減少します。それに伴い、ホルモンバランスが崩れ、心や体にさまざまな変化をもたらすのです。
個人差があるものの、月経周期(生理周期)が短くなる、月経(生理)がだらだら続く、周期が長くなるといった段階を経て閉経します。さらに、エストロゲンが減少すると脳は分泌を促しますが、卵巣が反応できずエストロゲンが不足した状態に。すると脳は混乱し、自律神経も乱れることで心身の不調が起きるのです。
更年期障害は、日常生活に支障をきたす状態です。これから、更年期障害によりどのような症状が現れるのかを見ていきましょう。
■更年期障害の代表的な症状
更年期には、心身ともに深刻な症状が表れます。ひとつずつ更年期障害の代表的な症状を確認していきましょう。
・ほてりやのぼせ、発汗などのホットフラッシュ

更年期障害の代表的な症状が、ほてりやのぼせといったホットフラッシュです。突然顔や体が熱くなり、1日に何度も大量に発汗することがあります。
汗をかく場面でないのにほてりやのぼせの症状が見られると、更年期障害の前兆とも考えられます。
・動悸・息切れ
激しい運動後や興奮状態でないにもかかわらず、「急に心臓がドキドキして脈が早くなった」「自分の動悸で目が覚めた」などといった動悸や息切れも出るように。これは、エストロゲンが急激に低下し、自律神経が乱れることで起こるものです。
・冷え

元々冷えを感じやすい女性は多いですが、更年期になるとより強く感じることがあります。これは、自律神経が乱れたことによる血行不良で起こるもの。中には、顔や首はほてりを感じているのに手足は冷たいといった、冷えとのぼせの両方を伴う“冷えのぼせ”という症状もあります。
・手足のしびれ
更年期になると、血管の柔軟性に必要なエストロゲンや、関節の動きをスムーズにするコラーゲンも大幅に減少します。それに伴い、手足のしびれが起こるのです。しかし、手足のしびれは他の病気が原因の可能性も考えられるため、気になるようでしたら早めに受診することをおすすめします。
・疲れ目・ドライアイ

更年期障害には、疲れ目やドライアイといった目の不調も現れます。目の乾いた状態は、負担が大きく疲れやすい状態です。年齢的に老眼もプラスされることもあり、より疲れを感じてしまうでしょう。
・疲労感・倦怠感

「疲れすぎて仕事や家事ができない」など、更年期に疲労感や倦怠感を訴える女性は多いもの。ホルモンが減少し自律神経が乱れると、睡眠の質の低下や血行不良が起こりやすく、体調回復がうまくできません。
また、更年期である45歳~55歳ごろは、子どもの進学や就職、親の介護などで環境が変わりやすい時期でありストレスを抱えやすいため、気持ちの面でも疲れを強く感じてしまうのです。
・便秘・下痢
自律神経が乱れると、便秘や下痢といった胃腸の不調も起こりやすくなります。症状が続くことで生活に支障が出る場合は、医療機関を受診するといいでしょう。
・皮膚のトラブル

うるおいを保つ役割のエストロゲンが減少することで、肌のバリア機能が低下します。全身が乾燥する症状は“ドライシンドローム”ともいい、かゆみや肌荒れ、湿疹などの皮膚トラブルが起こりやすくなります。加齢に伴い角質層のセラミドも減少することで、さらに皮膚トラブルが加速してしまうのです。
・イライラする
ちょっとしたことでイライラする、怒りが抑えきれない、声を荒立ててしまうなどの症状も、多くの更年期の女性が抱える悩みのひとつです。明るい気持ちに作用するホルモンのセロトニンが減少することで、イライラを感じやすくなります。
・憂鬱・落ち込む
気持ちがひどくふさぎこんだり、感動できなくなったりすることもよく見られる症状です。自律神経の乱れをはじめ、抗不安作用に関係があるプロゲステロンの減少、幸せホルモンとされるセロトニンの減少による影響だと考えられます。
更年期うつ病という病気もあるため、生活に支障をきたす場合は、我慢せずに病院を受診しましょう。
精神的症状 | 自律神経系 | 身体的症状 |
イライラ 怒りやすい 抑うつ気分 不安 情緒不安定 不眠 | ホットフラッシュ 動悸 冷え 頭痛 肩こり めまい 息苦しさ 疲労感 | 腰痛 関節痛 しびれ むくみ 便秘 下痢 食欲不振 乾燥肌 ドライアイ かゆみ 頻尿 月経異常 性交障害 |
■更年期障害の対処法をチェック
更年期障害の不調は、さまざまな要因が複雑に絡み合って現れているため、それぞれに合った対処をおこなうことが重要です。参考にできるものから取り組んでみましょう。
・漢方薬

さまざまな生薬を組み合わせた漢方薬を服用するのもおすすめ。症状に合わせた漢方を服用することで、心と体の乱れが回復しやすいともいわれます。更年期障害で処方される代表的な漢方薬は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・加味逍遥散(かみしょうようさん)の3つです。
薬局などでも購入できるので、薬剤師に相談しながら自身の症状に合う漢方を選んでみてください。
・向精神薬
イライラや気分の落ち込み、情緒不安定、不眠といった心の症状が強いときは、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの向精神薬でケアします。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のように、副作用の少ない新しいタイプの抗うつ薬もあり、ほてり・発汗などの症状にも効果があるとされています。
・ホルモン補充療法(HRT)
更年期障害の主な原因は、エストロゲンの揺らぎと減少のため、エストロゲンを補う治療(ホルモン補充療法HRT)も効果が期待できます。動悸やホットフラッシュなどの他に、性器の粘膜萎縮・乾燥によるセックス中の痛みにも効果的です。
ホルモン剤の種類や投与法もさまざまなので、医師と相談しながら自分に適した治療法を選びましょう。
・規則正しい生活
更年期障害になりにくくする・症状を緩和するには、食事・運動・睡眠に注意して規則正しい生活を心がけましょう。
更年期は、ホルモンバランスや自律神経が乱れやすい時期です。不規則な生活や不眠、栄養不足は、さらに自律神経が乱れ更年期症状を悪化させるおそれも。自律神経を整えるためにも、できることから生活を見直してみましょう。
・ストレスを溜めない

更年期障害は女性に多いとされていますが、なかでもなりやすい人の特徴として、真面目で神経質、がんばり屋といった、何ごとにも一生懸命な性格があげられます。ストレスを溜めすぎると心身の負担が多く、更年期症状がより強く出るおそれがあります。
ストレスを溜めないということは難しいですが、自分なりにうまく発散できる方法を見つけてみてください。
■45歳ごろから始まる辛い更年期…!確実に終わる日は来るから上手に乗り切ろう!
更年期はだいたい45歳くらいから始まるということがわかりました。
この時期はホルモンバランスや自律神経が乱れるため、心身ともに不調をきたすもの。現在更年期の方やプレ更年期の方は、不安に思っている方もいるかもしれません。しかし、いつか終わる日はきます。
また、個人差もありますが症状を改善できる対策もたくさん!厚生労働省の調査では、40~50代で更年期障害にならない人の割合は約15%、軽い症状は自覚していても特に日常生活に問題がなかった人を合わせると約50%という結果が出ていますよ。
ストレスを溜めず規則正しい生活を心がけ、症状がひどいときには医師の診察を受け、適切な対処をして乗り切りましょう。
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2人の兄妹を育てる30代ママです。元気いっぱいな2人のおかげで、バタバタしつつも毎日楽しく過ごしています。趣味は野球観戦、甘いものを食べること、ゆるーく宅トレをすることです。
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