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起床時から始まる、良い眠りのための1日の過ごし方【ママのための睡眠講座3】
子どもの寝かしつけや、自分自身の睡眠に悩みを抱えているママは多いはず。そこで、睡眠や入浴、運動の研究をされている日本薬科大学の石川泰弘先生にインタビューを実施。連載第3回は、良い眠りのための1日の流れを教えていただきました。
日本薬科大学 スポーツ薬学コース特任教授 博士。2006年より㈱バスクリンの商品及び企業PR・IR活動を行い「きき湯シリーズ」を大ヒット商品に。 「お風呂博士」として TV・雑誌・Web・ラジオなど多くのメディアで活躍。 ラグビー日本代表チームをはじめ多くの日本代表チームやトップアスリートに対して入浴や睡眠を活用したリカバリーに関する講演を行う。 2022年4月より文部科学大臣認定 職業実践力育成プログラム漢方アロマコース運営委員長に就任。
良い眠りのために、入浴はマスト!
―上手く入眠するためのルーティンを教えてください。
石川先生:眠る時間から逆算して生活リズムを整えてください。例えば22時に眠るんだったら19時くらいには夕飯を食べ、20時くらいから入浴。20時半にはお風呂を出るというリズムが理想ですね。
ーなぜそのリズムが理想なのでしょうか?
石川先生:食事の消化吸収にはエネルギーと時間がかかるので、眠る2時間ほど前には済ませるのがベスト。どうしても食事の時間が夜遅くなるならば、消化に負担がかからない軽めの食事にしておくと良いと思います。そしてお風呂で体温を上げる。すると約1時間半後には体温がすっと下がり、集中力も落ち、意識もさがり、眠りやすくなるんです。
ーシャワーよりお風呂の方が良いのでしょうか?
石川先生:はい。湯船には絶対に入ってください。湯船に入ることで、深部体温や心拍数も上がり、交感神経が優位になるのです。体温や自律神経にメリハリをつけて眠ると、睡眠中も心拍数や交感神経が下がって、よく眠ることができて、目覚めも良くなります。
しかも入浴すると血液循環も良くなります。血液は食べた物の栄養や酸素、ヘモグロビン、白血球などを体中の細胞に運んでいます。つまり、血液循環を良くすることは、健康になる準備をしているということ。入浴することで体中に必要なものが行き渡った状態で眠れるから、元気になるし、体も大きくなるわけです。
ぜひ、子どものうちからシャワーではなく、入浴の習慣をつけてくださいね。親子での入浴は、会話のチャンスでもあります。子どもの気持ちを引き出す場にもなって、良いことばかりですよ。
―入浴にはそんなにもメリットがあるんですね。
石川先生:ただ、子どもとの入浴では、お湯の温度には気を付けてください。子どもの方が大人よりも体温が1度弱高いからです。大人が思うよりもお湯の温度をぬるめに設定して大丈夫。もし、親子でお風呂に入っていて子どもは快適だけど大人が寒さを感じたら、浴室の暖房をつけるなどして調整してみてください。
ーちなみに、寝る前の運動は睡眠にとってどんな影響がありますか?
石川先生:運動をすると交感神経が優位になります。睡眠時には副交感神経を優位にする必要があるので、基本的に寝る前にハードな運動はあまりしない方が良いですね。「疲れないと眠れない」と思っている方もいますが、実は逆効果なんですよ。
寝具にこだわるのなら、マットレスから
ー良い睡眠のための、理想の寝室環境は?
石川先生:室温が重要です。夏は26度くらい、冬は17度くらいに保ってください。また、エアコンの風が直接体に当たらないように注意。暖かい空気は部屋の上に流れるので、サーキュレーターなどを使いながらうまく空気を循環させると良いと思います。
そして、眠る時はカーテンはちゃんと閉めること。部屋が暗くなるだけでなく、防音の効果もあります。朝になったらカーテンを開けて日の光を浴び、体内時計を整えてください。
ー寝具やパジャマの選び方のコツはありますか?
石川先生:体の大半を預けている敷き寝具(マットレス)にこだわってください。選ぶ時のポイントは、体が沈み過ぎないこと。人間は寝ている間に何回も寝返りをするので、体が沈み過ぎると、寝返りがしづらくなり、夜中に目が覚めてしまうこともあります。基本的に寝返りがしやすいかをチェックしてくださいね。
敷き寝具は高い買い物ですが、毎日体を預けるもの。日割りをしたら十分元がとれていると気づくと思います(笑)。もちろん、必ずしも高いものが良いわけではありませんが、自分の体に合ったものを探してみてください。
また、「なんだか今の布団が体に合わなくなってきた気がする」という時の応急処置として、布団の下にダンボールを入れてみる。それだけでも高さや硬さが変わって、眠りやすくなることもありますよ。あと自分の体型の変化もチェックしてみてください。
そしてパジャマは血液循環を妨げないように関節を締め付けないものを選んでくださいね。特に、子どもには寝る時はちゃんとパジャマに着替える習慣づけを。「これを着たら寝るんだな」というスイッチとしての役割を果たします。
―よく「スマホを寝室に持ち込んではいけない」とも言いますよね。これはなぜですか?
石川先生:やはり夜に明るいブルーライトを浴びると、睡眠を安定させるメラトニンというホルモンが出にくくなります。体も昼間だと錯覚して眠りにくくなるからです。また、スマホの通知がストレスになっているとも考えられます。
特に、子どもは目が澄んでいるので、ブルーライトの影響も受けやすい。とは言え、眠る前にスマホを一切見ないことは難しいかもしれません。スマホの液晶にブルーライトカットのシールを貼るくらいの対策から始めてはいかがでしょうか? 「睡眠のため」と思ってもできないことは続かないし、できることからコツコツ続けてくださいね。
休日の寝だめで、体が時差ぼけ状態に!
ー昼寝や休日の寝だめはいかがでしょうか?
石川先生:昼寝は子どもなら必要最低限に。大人は長くても20分くらいにしてください。20分間寝るだけで、眠気がスッと消えますよ。逆に1時間以上寝てしまうと「もっと眠りたい」と思ってしまうので、要注意。
休日の寝だめはNGです。休日の遅寝遅起きは体内時計のリズムを崩す原因になり、「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」と言われています。
例えば、休日いつもより2時間遅く起きたら、そこから朝が始まるので、日本と2時間時差があるタイのバンコクで起きたことと同じ状況。時差ぼけの体の負担を抱えて平日をスタートしなければなりません。休日まで夜眠る時間を合わせることは難しいかもしれませんが、せめて朝起きる時間は合わせてください。そうすることで体内時計のリズムが整います。
また、朝食を食べることも、体内時計を整えるポイントです。腸での消化活動が始まることで、体内時計のスイッチが入り、脳にあるマスタークロック(全ての細胞のタイマーを調節する機能)と同調してリズムが整います。
ママさんたちは、つい育児や家事で睡眠が乱れがち。でも、大人が元気じゃないと子どもの面倒は見られません。だからこそ、子どもの睡眠だけでなく、自分の睡眠にも意識を向けてくださいね。
ママも子どももしっかりと良い睡眠をとって、毎日元気に過ごしましょう♪
【石川先生も講師を務める、日本薬科大学の漢方アロマコース2025が開講】
健康に関わる様々なプロが直接指導するアロマの本格講座です。e-ラーニングやスポットでの受講も可能♪ 詳しくはこちら→ https://www.nichiyaku.ac.jp/kampo-aroma-course/
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2025.03.10
子どもは何時間寝るべき? 眠れない夜に寝る方法【ママのための睡眠講座2】
菱山恵巳子
1991年生まれのライター・コラムニスト。エンタメからビジネスまで、執筆ジャンルは多岐に渡る。恋愛漫画の原作も手掛ける。2016年に出産、男女の双子を育てる母。男性アイドルウォッチャー。
https://www.instagram.com/emiko_hishiyama/
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