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Lifestyle

【医師監修・執筆連載③】パニック!かんしゃく!!公共の場でひっくり返る…その瞬間、親はどうしたらいいのか?!

こんにちは、発達専門の小児科医・ママ友ドクターゆみ先生こと西村佑美です。3人の子どもを育てる母として医師として、読者の皆さんがとまどってしまうような子育てのお悩みを題材に、その要因や予防策、解決の糸口となるヒントをお伝えしていきたいと思います。
連載1回目の記事を見逃した方はコチラをチェック!

この記事の監修者

西村佑美

小児科専門医、子どものこころ専門医
/一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会 代表理事/3児ママ
大学病院で発達診療を学ぶ。発達特性に合わせた子育て経験を活かしママ友ドクター®活動や「子ども発達相談アカデミー VARY」を展開。著者「発達特性に悩んだらはじめに読む本」(Gakken)
https://lit.link/doctornishimurayumi

どんなママにもあるある!子育てのトホホな経験

私も3人の子どもたちを通じてたくさんトホホ…な経験をしました。例えば、電車をここで降りる!と言わんばかりに泣き叫び始める、公園から帰りたくないと砂場で泣きながらひっくり返る、夕飯の支度をしている時に何を伝えても泣く…これは私が経験したことのほんの一部。
周囲の視線、焦り、罪悪感、苛立ち…様々な感情が渦巻いて、親は冷静さを保つのが本当に大変。かんしゃくは、「起きてからだと対応が難しい!」つまり予防が不可欠。そのためにまず、かんしゃくが起きる原因について考えてみましょう。

生理現象・感情表現(疲れた・眠い・空腹・甘えたい・怒ってるなど)

かんしゃくの原因としてとても多いのは、親である私たちも忘れがちなことですが、生理的・感情的な理由から起こるものです。例えばショッピングモールなどでは子どもも大人も刺激が強くて無自覚のうちに疲れてしまいがちです。自宅にいるように安心できる場所がない場合、緊張もしますし、そして不快な刺激から逃れられないと感じるとパニックに陥ることも。

ママの緊張感や苛立ちがある場合

ママが「ここでかんしゃくを起こされたらどうしよう…いい子でいてくれ!」と緊張していると、なんとその不安・ソワソワ感は子どもに不快感のように伝わります。まるでセンサーのようにママの感情をキャッチする子どもは、不快な気分から不安定になり、それがつい引き金になってしまうことも。

発達段階の特徴が影響(我慢が苦手・言葉の遅れ)

自我がどんどん強くなり、自己主張が始まる2歳前後は「自分でやりたい!」という気持ちと「できない」というもどかしさや不快感を覚えます。感情のコントロールが未熟な時期でもあり、「イライラする」「イヤ!」「怒ってるぞ」など様々な気持ちを、適切な言葉で表現できず、かんしゃくという形で表してしまうことがあります。思っている通りに言いたいことが上手く伝わらないときもグズりますよね。あとは、我慢が苦手で欲しいものがあるとつい泣いて暴れて脅して親に買ってもらおう!という作戦に出る子もいます。ここで根負けして買ってしまうと、「泣けば何でも買ってもらえる」と覚えてしまうので気をつけましょう。

特性による感覚過敏

感覚過敏といった発達特性の程度が強めのお子さんの場合、特定の音や光、触覚などが不快に感じたり、場合によっては周りが見えないほどの「パニック」を起こしてしまうことがあります。これはかんしゃくとはちょっと違う特殊なケースとして捉え、起こるパターンに気づけたら基本的に予防します。本人も周囲もコントロールが難しいものです。

かんしゃくは、子どもからの「なんか不快!」のメッセージ

原因から紐解くと、かんしゃくって実は子どもからの重要なメッセージです。
空腹や疲れといった基本的な生理的要因から、「伝わらなくて悔しい」「認めてほしい」「甘えたい」といった感情的な要因まで必ず理由があるのです。そこで私はかんしゃくを、「○○(原因・きっかけ)のせいで、なんだか不快なんだよぉ!」と訴えているのかな?と、想像してから対応をはじめます。何が不快感の原因なのかな?と探偵のように探ります。
泣き叫ぶ行動の背景に、「ぼく怒っているんだ、だから気分が不快」「眠いんだ、だから不快」「さみしいのに甘えさせてもらえない、だから不快で涙が出る」という訴えがあるんだと、頭に入れ、子どもにはそれによる不快感を言葉でどう表現するのが適切か、どう対処するといいのか教えてみてくださいね。

かんしゃく対応①:土台作りこそが近道
かんしゃくへの対応で最も重要なのは、実はかんしゃくが起きていない時間帯での関わり方です。日常的に「肯定的な注目ほめ」の実践がカギとなります。子どもの行動が、危険ですぐに叱る必要があるもの以外は、こんな呼びかけをしてみてください。
例えば、お子さんが普通におもちゃで遊んでいる時、「あ、ブロックを積んでいるね」とナレーションしてみましょう。実は、「すごいね!」などのわかりやすいほめ言葉はあまり必要ありません。ただお子さんの行動を言葉にして伝えることで、「注目されてうれしいな」という安心感が生まれ、心理学的にも子どものこころのゆとりや自信につながります。ほめられていると感じ、もっと頑張ってみようという意欲に繋がります。このような日常的な声がけが、かんしゃくの予防と軽減に繋がる「こころの土台」を作るのです。

かんしゃく対応②:最小限に抑えるために
具体的にどのような対応をすれば良いのでしょうか?まずは事前の準備がカギになります。
●スケジュールを子ども中心に:子どもの体力や機嫌を考慮したプランを立てる
●事前説明:「これから電車に乗るよ。静かにできたらおやつを食べようね」など、前もって行動の流れと期待を伝える
●気分転換グッズ:お気に入りのおもちゃ、絵本、スナックなど、気分転換できるものを持っておく

かんしゃく対応③:兆候を見つける
子どもがそわそわし始めたり、いつもと違う行動を始めたら早めに休憩を取ったり、気分転換を図ったりすることで、かんしゃくやパニックを防ぐことができます。
けれどやはり絶対に防ぐというのは難しいもの。実際にかんしゃくが始まってしまったらどうしたらいいか、そのポイントをお伝えしていきますね。

かんしゃくが始まったら…

●安全な場所を確保:人通りの少ない場所に移動、子どもが落ち着ける環境を作る
●クールダウンする時間と場所を:「10秒数える」など親子で落ちつくルーティンを普段から見つけて練習を。
●共感と受容:「つらいね」「悲しいね」「欲しかったんだよねぇ」と子どもの気持ちに共感し、受け止める。しかし、行動を肯定するのはNG。叩いたり投げたりの危険行動がある場合は、淡々と「○○しません」と伝えます。
●大人の過度な対応は避ける:かんしゃくは起きてしまったら、説得したりなだめるのは逆効果。過度な対応は避け安全を確保した上で、落ち着くまで静かに見守ります。

周囲の視線がつらい

とはいえ、かんしゃくを起こされたあと、親を最も苦しめるのが、周囲の視線でしょう。焦って子どもに寄り添うどころか叱ってしまうこともあるかもしれません。子どもはママに理解してほしい、受け止めてほしいと願っています。厳しい言葉や態度で押さえつけようとすれば、子どものパニックはさらにエスカレートする可能性があります。余裕の笑みを浮かべて「泣きたいほど(おもちゃ)欲しいよね」「でも泣いてもね、今日は買わないよって約束したから守りましょう」と淡々と伝え、あるいは抱きかかえて店の外に出てみましょう。
あれこれ子どもが訴えてきても、「落ち着いたらママが抱っこしてあげるね」「ママはここにいるよ。泣き止んだら一緒に帰ろうね」と短く、やってほしいことを伝えながら待ちます。目線は本人からはそらし気味で。これは注目しないことがコツなんです。周囲から見ると、子どもが泣いていることに対して焦って怒鳴っている親ほどかっこ悪い印象を与えてしまいがち。焦る気持ちを抑え、状況に応じて「すみません、今少し落ち着かないみたいで…」と微笑みながら周囲に一言伝えるだけでも視線を感じにくくなり気持ちが楽になります。

収まった後のフォロー

少しでもかんしゃくやパニックが収まりだしたら、パッと目を合わせ「自分で落ちつけたね」と肯定的に注目してあげて。「次はこうしてみようね」と前向きな言葉をかけてあげましょう。いつもより早く泣きやんだときも、その頑張りを思い切り褒めてあげて。(泣くの我慢できたんだね、おもちゃを棚に戻せたね、のように具体的に)。これは特別なことではなく、子どもの成長過程のひとつだと理解することが大切です。

完璧を目指さない

最後に大切なのは、普段から親が「肯定的に注目ほめ(行動をナレーション)」という習慣を持つこと。その結果、子どもの心の土台ができ、心理学的に効果的とされる声がけテクニックでかんしゃくを含むいろんな困った行動を上手に減らせます。何より、かんしゃくはお子さんの成長の通過点、必ず卒業できます!

構成・文/西村佑美(小児科専門医、子どものこころ専門医)

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