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【医師監修】離乳食はいつまでで完了?卒業の目安と進め方
■離乳食を始める時期と前期・中期・後期に分ける理由
離乳食を始める目安は生後5~6カ月、完了する時期は1歳~1歳6カ月といわれています。しかし離乳食には「絶対にこの時期にスタートしなければならない」、「この時期にこれを食べられないといけない」といった決まりはありません。離乳食で大切なことは、月齢にあわせてではなく、出生時の状況や哺乳がしっかりとできているか、体重がきちんと増加していっているかなど、赤ちゃんひとりひとりのコンディションにあわせて進めていくことです。
また、一般的に生後5~6カ月を離乳食前期、7~8カ月を中期、9~11カ月を後期、それ以降を完了期といいますが、段階にわかれていることには理由があります。嚥下(飲み込むこと)機能の成熟、咀嚼(噛むこと)動作の訓練、栄養の摂取、といった目的に合わせて段階にわかれているのです。これらを念頭において、赤ちゃんの成長に合わせてステップを踏んで離乳食を進めていきましょう!
・離乳食開始時期は飲み込む機能の確認を
出生後、赤ちゃんの喉の筋肉は少しずつ発達し、生後5カ月頃を目安に「飲み込む」という動作ができるようになります。この時期が離乳食開始の目安です。母乳やミルクよりもやや喉に物理的刺激のある10倍粥などを食べさせて、飲み込めるかどうか、喉の過敏な反応(反射)がないかを見極めます。生後7カ月でも離乳食を始められないようであれば、一度小児科へ相談してみるとよいでしょう。
・中期は、赤ちゃんのペースにあわせて徐々に噛む練習を
「噛む」「噛み砕く」といった動作を身につけていくことも離乳食の目的のひとつ。離乳食が進んできたら、おかゆなどの流動食タイプから徐々に固形物を含む内容へシフトしていきます。いつからシフトしていくかは、赤ちゃんのペースをみながら無理なく進めていくのがポイントです。
・後期は、食事から栄養を摂取していく方向へシフト
離乳初期の赤ちゃんは、母乳やミルクから栄養を摂取しています。しかし、断乳後は食事から栄養を摂取していかなければなりません。離乳のペースをみながら、離乳食完了に向けて栄養バランスの整った普通食(幼児食)へ徐々に移行していきましょう。
■離乳食スタート後の栄養管理の考え方
離乳食の栄養については、以下のように考えてみてください。
・離乳食で栄養をすべてカバーしなくてOK!
離乳食期は、飲み込む機能や噛む能力を徐々に身につけていく期間です。栄養ある食品ばかりを摂取できるわけではないため、焦らずにいきましょう。特に離乳初期は母乳やミルクでの栄養摂取がメインとなります。歯が生えてくる10~12カ月あたりを目安に徐々に幼児食へと切り替えていき、奥歯が生えてくる1歳6カ月頃を目安に栄養バランスを考えた食事へのシフトを目指しましょう。
・離乳食スタート後の授乳量や授乳頻度は赤ちゃんのペースで
離乳食中の授乳については、1歳頃までは母乳やミルクを主な栄養源としてとらえ、飲みたいだけ飲ませても問題ありません。離乳食とのバランスを考慮しながら調節していきましょう。一般的には、離乳食中期頃からは離乳食と母乳やミルクのバランスを5:5、離乳食後期は離乳食をメインに母乳やミルクはおやつ程度(捕食)、1歳~1歳6カ月で卒乳、といわれています。このように進めると幼児食への移行がスムーズでしょう。
ただし、卒乳のタイミングは人それぞれ。母乳やミルクが赤ちゃんの心の安定につながっているケースもあるため、一概に「いつまでに」とはいいきれません。幼稚園などへ向け、2歳~2歳6カ月を目安に卒乳を目指してもいいでしょう。
■食物アレルギーにはどう気をつけたらいいの?
離乳食を進めるうえで気をつけたいのが食物アレルギーです。食物アレルギーは、食材そのものがアレルギーの原因となるケースと、摂取量が許容量を超えた場合に起こるケースの2通りあります。
・食物アレルギーかも?と思ったら
食後30分以内を目安に「あれ?」と思う症状がでたら、軽症でも小児科を受診しましょう。ピーナッツなど、まれに重篤なアレルギー症状を引き起こす食材もあります。急激に様子が悪化した場合は家庭で様子をみるなどせず、すぐに受診するか救急車を呼んでください。離乳食で初めての食材を取り入れる際は、1種類ずつ、夜ではなく小児科の診療時間内(できれば平日の午前10時くらい)を目安に与えると、なにかあったときにも対応可能です。「いつまでにこの食材を食べさせなくちゃ…」などと焦らず、じっくりと様子をみながら新しい食材に挑戦していきましょう。
場合によって、母親の食事の影響が母乳を介して子どもに表れることもあります。母乳を飲んだ後に湿疹など気になる変化がでたときも、小児科を受診しましょう。
・食物アレルギーがわかった場合の離乳食の進め方
子どもの食物アレルギーがわかったら、除去したほうが望ましい食材、そうでない食材などを医師に相談しながら離乳食を進めていきます。離乳食中も離乳食完了後も、アレルギーを引き起こす食材の扱いには注意が必要です。
食物アレルギーがわかっても焦る必要はありません。たとえば、3大アレルゲンと呼ばれるたまご・牛乳・小麦などを除去しても、代替となる食品から十分成長に必要な栄養素の摂取が可能です。食物アレルギーはママだけで抱え込まず、みんなで対応していきましょう。
■離乳食完了から幼児食への移行のタイミングは?
離乳食完了の時期は、月齢や食事摂取量ではなく、食事内容で判断していきます。2歳以降の子どもと同じ内容の食事が摂取できていれば、離乳食完了と判断してよいでしょう。バナナほどのかたさのものを前歯(歯茎)でかじり、噛んで食べられるようになる、スプーンやフォークを使おうとする、なども完了の合図。個人差があるので、マニュアルよりも子どもの様子を優先して幼児食へ移行していきます。
■幼児食へ移行する際の食事のポイントや注意点
幼児食へ移行する際に「これってどうしたらいいの?」と多くのママが悩むポイントや注意点をピックアップしてご紹介していきます。
・食事の量はどれくらい?おやつもあげてOK?
まず多くのママが悩むポイントが食事量。1日3回の食事がとれるようになる時期ですが、食べられる量には個人差があるので少量からスタートしましょう。食事内容としては、ハンバーグや煮魚など、咀嚼しやすい食材やメニューがおすすめ。数日おきに少しずつ量を増やしていき、食べられる量を見極めていきます。子どもが遊び食べを始めたらお腹いっぱいのサイン。食事と食事の間にお腹が空いていそうなときは、茹でたさつまいもや果物などの補食を与えてもOKです。
・いつまで加熱する?生ものはいつからOK?
食品衛生の観点から、幼児食移行期の食事は加熱したものを中心に与えましょう。
・生ものは調理の過程で食中毒の原因となる細菌やウイルスが付着する可能性がある
・普通食移行期の子どもは免疫が未熟で、成人や幼児と比較して感染が成立しやすく食中毒などを発症しやすい
このような特徴があるので、食材はできるだけ加熱したほうが安心です。
この時期になれば生野菜や生の果物を与えても大丈夫ですが、生野菜には、消化しづらい、雑菌が繁殖しやすい、といった特徴があるので十分に気をつけながら与えます。まな板や包丁などの調理器具は清潔に保ち、菌の繁殖を防ぐために食べる直前に調理しましょう。
・味つけは薄めを心掛けよう!
濃い味に慣れてしまうと食材によっては好き嫌いが出てしまう可能性も。たくさんの素材の味を覚え、楽しんで食べてもらうためにも薄味を心掛けましょう。大人が食べられる程度の薄味から始めるのがおすすめです。
■離乳食の時期を楽しく過ごすコツ
離乳食を開始すると、思うように食べてくれずに心配になったり、近い月齢のお友だちと比較して焦ったりすることもあるでしょう。ですが、気にしすぎないことも大切!離乳食の期間については以下ように考えてみてください。
・家庭それぞれのスタイルで◎
離乳食の進め方は家庭によって違って大丈夫。ママやパパの働き方や家族構成によって、それぞれのスタイルがあるものです。離乳食や幼児食への移行のタイミングや食事内容などは、それぞれの家庭スタイルに合わせて臨機応変に決定し、負担の少ない方法で進めていきましょう。
・離乳食マニュアルや育児書は参考程度に
離乳食に関わるすべてを育児書とおりに進める必要はありません。〇カ月で〇gの塩分…など、マニュアル通りに進めようとすると辛くなってしまうこともあります。また、育児書や離乳食レシピ本によって記載内もさまざまです。たとえば、トマトは1歳未満でも食べさせてOKとしている参考書が多いですが、アレルギー反応を引き起こすことがあるヒスタミンが比較的多く含まれているので、1歳以降のほうが良いという考え方もあります。
育児書の内容はあくまでも参考としてとらえ、各家庭で進めやすいようアレンジしていくと気楽に離乳食を進めていくことができるでしょう。
■離乳食完了期から幼児食の時期に食べられる食材とおすすめメニュー
離乳食完了期から幼児食へステップアップする時期は、食べられるものがどんどん増えるので、さまざまな食材に挑戦してみたくなるもの。ここからは食材やおすすめメニュー、おいしく安全に取り入れる方法もご紹介するので、ぜひ試してみてくださいね!
・完了期頃から食べられる主食メニュー
完了期頃になると、中華麺や山芋なども食べられるようになりますよ。【調理例:具だくさんラーメン】
鶏ガラや野菜からダシをとり、しょうゆなどで味つけしたスープにやわらかく煮たにんじんや玉ねぎなどの具材と、茹でて食べやすく切った中華麺を入れる。
【調理例:山芋入りお好み焼き】
すりおろした山芋と小麦粉、卵を合わせた生地に茹でたキャベツやひき肉、ツナなどを混ぜて焼く。食べやすいサイズにカットする。
・完了期頃から食べられる主菜
まぐろ、さば、鮭、ちくわのような練り物類なども、主食メニューに使えるようになりますよ。
【調理例:まぐろと野菜たっぷりふわふわつくね】
フードプロセッサーに、火を通したマグロとひじき、玉ねぎ、鶏ひき肉、豆腐などの具材と、つなぎの片栗粉を入れて混ぜる、丸めて焼く。
【調理例:ほぐし鯖フレーク】
焼いた鯖を、骨を取りながらほぐす。ご飯にかけても卵焼きに混ぜても。小わけにして冷凍もOK!
・完了期頃から食べられる副菜
完了期頃からは、ほとんどの野菜は火を通せば食べられます。生野菜もやわらかいものや繊維が少ないものはOKです。
【調理例:きゅうりとオクラのおひたし】
茹でて1センチ角に切ったオクラと、板ずりして食べやすい大きさに切ったきゅうりをしょうゆとあえる。
【調理例:茹でるだけ温野菜】
ブロッコリー、スナップエンドウ、アスパラガスをやわらかめに茹でるだけ。
■赤ちゃんが食べてくれるとママは本当にうれしい!
大人の食事とは別に用意しないといけない離乳食。栄養面、彩り、食感など、赤ちゃんのために毎日試行錯誤しながらご飯を用意するのは大変なことです。せっかく手をかけて作ってもあまり食べてくれず落ち込んだり、市販の離乳食をばくばく食べて驚いたり、たくさん食べてくれるメニューを見つけて喜んだり、さまざまなことがあるでしょう。今は大変でも、大人と同じものが食べられるようになるまであと少し!「いつまでに完了させなくちゃいけないの!?」などと気にしすぎるより、親子で離乳食期を楽しんでいけたらいいですね。
【監修】たけつな小児科クリニック 竹綱庸仁先生
<プロフィール>
2004年、愛知医科大学医学部卒業。同大学で臨床研修終了後、小児科に入局。2013年、奈良県の病院で小児科の立ち上げに従事。2017年、たけつな小児科クリニックを開設。「すべては子どもたちのために」をモットーに、一般的な疾患からてんかんなどの神経疾患、食物アレルギーや喘息、日本でも数少ない小児頭痛を専門とするなど幅広い診療を行う。現在は病児保育室バンビを運営する他、言語発達遅延の子どもに言語訓練を行う児童発達支援施設「のびいく」を運営している。趣味は読書と神社巡り。
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やんちゃボーイズ2人のママです。転勤族妻で、営業、事務、秘書の経験があります。大学で運動栄養学、仕事ではサプリメントに関する知識や、環境問題・エコなどについて学びました。休日に夫が作ったご飯と美味しいお酒でカンパイするのが楽しみです。子どもと一緒にてんやわんやの日々ですが、自分のケアもキチンと!が最近のテーマです♡【Instagram】kimmy_sasa_mii
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